買い物をしていて手持ちの服と合うかは悩むことは多々ある。自分の服を持ち込んでいけたら……と思っていたら、それを実践した客がいたと聞いた。新しい服を買いに行くために、そこまでの労力を使っても「接客してもらいたい」という気持ちはどういうことか。実際に接客をした販売員に会いに行った。そこには今までの人生で経験したこと、得た知識や情報を総動員して、お客様の悩みに向き合う販売員がいた。「エルーラ(ELURA)」アルカキット錦糸町店の清水奈津子さんだ。これまでどんな経験をし、それを活かして、どんな接客しているのだろうか話を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2022年11月7日号販売員特集からの抜粋に加筆しています)
「エルーラ」は“大人の悩みに効く服、あります。”をコンセプトに、アダストリアが運営する40~50代をターゲットにしたブランドだ。21年8月からスタッフによるパーソナルスタイリングサービスを行っている。「メディアで『エルーラ』のパーソナルスタイリングサービスを知ったお客さまが通常のご予約をされて来店しました。その際にご自身の服を20~30着をトランクに詰めてお持ちになりました」。
このサービスでは最初に10分程度のカウンセリング時間が設けられ、まずは丁寧にファッションの悩みを聞く。「そのお客さまの時は、カウンセリング後にお持ちになった服でコーディネートを何パターンか組んでみました。そこに加えると良いアイテムを店頭の商品からご提案して、お買い上げいただきました」。
パーソナルスタイリングサービスはアダストリアのECモール「ドットエスティ」のブランドページからサービスの予約と各店のスタッフのプロフィールを確認できる。現在はこのサービスを定期的に通う客も複数人いるそうだが、清水さんは「このサービスを継続的に利用していただくのも嬉しいのですが、お客さまにはお悩みから解放されて“ひとり立ち”をして欲しいのです」という。パーソナルスタイリングで得た知識を活かして、自分で服を選べるようになり、お買いものする楽しみも伝えている。
毎日毎日「何を着たら良いか分からない?」と適当に服を選ぶよりも、「今日は誰に会うから、この服を着ていこう!」とその時の気持ちに合わせた服選びができるとファッションも楽しくなると思う。顧客がそんな風にファッションを楽しめるように“ひとり立ち”を促している。
美容師やカラリスト、骨格診断など
資格で得た知識を活かしてサポート
サービス予約ページに掲載されている清水さんのプロフィールには「頭から足の先までお任せください!」と書かれ、保有資格には美容師免許、パーソナルカラリスト2級とある。「専門学校で美容師免許を取得しました。ですが、お客さまの髪を切ることはしませんでした。パーソナルカラリスト2級のほかにカラーセラピスト、骨格診断アナリストの資格も持っています」。
美容師免許まで取得したにもかかわらず、卒業後は個人経営のエステサロンで勤務し、接客力を身につけたいと思い美容室で受付の仕事に転職したという。折角、取得した資格なのに美容師にならなかった理由を聞いた。「この頃は、客観的に店全体を見渡せる立場で仕事をしたいと思い、美容師ではなく受付の仕事を選びました。美容師として仕事をすると、必然的にお客さまに寄り添うことになりますが、私は働いている美容師にも寄り添える仕事がしたいと思い、それが美容室の受付でした」。
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