ユナイテッドアローズ、ビームス、ベイクルーズは11月2日に、恒例の3社合同販売員勉強会を開催した。2019年に始動したこの取り組みは、普段は交流する機会が少ない各社の販売スペシャリストのノウハウを共有し、業界全体で販売員の価値向上を目指すというもの。オフライン開催だった前回に対し、今回はより多くの販売員に参加してもらうためオンラインで開催し、各社から全国の販売員約300人が参加した。
テーマは、「ファッションの楽しさをあらためて知る」。3社共通の課題として、入社3年目の離職率や販売員を志望する人材の減少などが挙がった。運営事務局の江藤佳子ベイクルーズ・ストアセクション・マネジャーは、「『なぜファッションの道を選んだのか?』といった根本的な問いを投げかけ、自分たちがまずファッションを楽しめているかを見つめ直し、この仕事の意義をあらためて考える機会をつくりたかった」と話す。
各社からファッションを楽しんでいる代表として「デミルクス ビームス」(ビームス)の目黒越子さん、「ディストリクト ユナイテッドアローズ」(ユナイテッドアローズ)の森山真司さん、「ミューズ ドゥ ドゥーズィエム クラス」丸の内店(ベイクルーズグループ)の大山泉さんが登壇し、スタイルへのこだわりやファッションを楽しむ秘訣などを対談形式で語った。エース販売員の大山さんは、「店頭に立つ身なりから接客は始まっている。お客さまに『この人に聞いたら間違いない』と思ってもらうことが大事で常に“説得力のある着こなし”を意識している」とコメント。販売員歴30年でセールスマスターの称号を持つ森山さんは、「身につけられるなら処分しない」をモットーに、経年劣化も楽しみながら商品を長く楽しむ心意気を伝えた。10年半の販売員歴を経て、現在プレスを担当する目黒さんは、「自分たちがファッションを楽しんでいないと、目の前のお客さまを楽しませることはできない。自分の言葉で楽しさを伝え続けてほしい」とエールを送った。
江藤マネジャーによると、ECでの買い物が浸透するにつれ、販売員にはこれまで以上に提案力の高さが求められているという。「お客さまはネットで買い物する時には出合えないような、プロ目線の提案を販売員に求めている。販売スタッフのセンスと観察力がより重要になっている。勉強会を通して、参加者それぞれに何かヒントを持ち帰ってもらいたい」と話した。今回は11月〜23年8月にかけて5回に分けてオンラインのトークセッションを開催予定。さまざまな角度から販売の仕事を楽しんでいる人の話を聞いてもらう。