ユナイテッドアローズの2022年4~9月期連結業績は、売上高が前年同期比13.9%増の574億円、営業損益が13億円の黒字(前年同期は26億円の赤字)、純損益が10億円の黒字(同19億円の赤字)だった。
各利益が計画地を上回った。値引きの抑制によって利幅が改善したことが大きい。春夏シーズンから品番数の絞り込みを進めたほか、夏のセール本番前に一部で行ってきた春物セールを止めた。その結果、定価販売の構成比は、コロナ禍前の3年前から10.3ポイント増の83.8%に改善。増収効果と併せて、粗利益率が2.8ポイント上昇し、ほぼコロナ禍前の水準まで戻した。
7日にオンライン会見した松崎善則社長執行役員CEOは、「ここ数年は収益体質の改善、つまり守りに終始してきたが、次期中期計画に向けてはより一層の高付加価値を提供し顧客満足を高めていく。いよいよ次のステージを目指す足場が整ってきた」と手応えを語る。
秋冬は商品コストの上昇に対応するため、商品の2割相当を平均で15%値上げした。「上代が受け入れていただけない場合の値引き販売を想定し、当初の設計よりも在庫を積み増した。しかし、お客さまにご理解をいただき結果的には売上につながった」という。引き続き値引きの抑制に注力し、1月初めの初売りから2月にかけて行ってきた冬のセールは1月末までに短縮する。
3月にリニューアルした自社ECでも同様に、タイムセールなどを抑制。春夏は実店舗の回復に伴い、EC上での在庫不足などが発生したが、秋冬に向けては在庫管理をシステム化し、効率を上げる。なおアプリのダウンロード数は、リニューアル後に100万増えて約230万ダウンロードに達した。「システムの課題はほぼ解消し、成長軌道に乗った」と見る(同社)。加えてSNSの専門チームを社内に設置し、インスタグラムとツイッターを柱にデジタルマーケティングを強化する。同社の課題である20~30代の女性へのリーチにつなげる狙いだ。
松崎社長は、「内部の取り組みによって着実に改善・再成長に向かっている。足元の回復が見えてきた中で、更なる成長に向けては企業としてのブランド力が大事になってくる。商品やサービスをアパレルに留まらない領域に広げ、新たなユナイテッドアローズに向けても本格的に挑戦を始める」と話した。
通期の業績予想は、売上高同9.8%増の1300億円、営業損益は同185.2%増の48億円、純損益が同309.4%増の30億円を見込む。