物価上昇によってマスマーケットの回復は鈍く、中華圏のインバウンド(訪日客)も戻らない中、右肩上がりで成長する「外商」の存在感が増している。百貨店各社は若い世代の富裕層の支持を得るため、組織、売り場、デジタルなどの改革に乗り出す。古いビジネスモデルといわれた外商はどのようにアップデートされているのか。(この記事はWWDジャパン2022年10月31日号からの抜粋です)
三越伊勢丹は、伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店の主力2店の外商売上高がコロナ前の2019年度の716億円に対し、22年度は860億円に達する見通しだ(図1参照)。阪急阪神百貨店も全店舗合計の外商売上高で、22年度は過去最高の740億円を見込む。
阪急本店(阪急うめだ本店・阪急メンズ大阪)の本店長である佐藤行近・阪急阪神百貨店取締役専務執行役員は「昨年あたりから40代くらいの新規の富裕層のお客さまが増えた。従来との違いは、少しずつランクアップするのではなく、いきなりVIPになられる方が少なくないことだ」と話す。新規の若手起業家らによって年間数千万円以上を購買する上位顧客の数が数倍になった。人数としては少数にすぎないが、金額が大きいだけに顕著な押し上げ効果が出る。
顧客の世代交代で変わるビジネスモデル
顧客の高齢化が課題だった外商の潮目が変わった。大丸松坂屋百貨店の場合、外商顧客に占める50歳未満の割合が22年上期で29.7%になった。決して高くはないものの、2年間で5.5ポイントも上がった。加藤俊樹・取締役兼常務執行役員は「50歳未満のお客さまの売上高は57%増。外商全体をけん引している」と話す。
顧客の世代交代に伴い、百貨店のビジネスモデルも変わる。
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