注目ブランド&ショップの展示会写真でおさらいする2022-23年秋冬ウィメンズトレンド企画の第3弾は、ジレ(ベスト)について。「ジレが売れている」という話は22年春夏以前からアパレル各社で出ており、今秋冬もその流れが続いています。ジレは温度調節がしやすい上に、もっと寒くなれば長袖コートなどとも重ねられるアイテムとして、今まさに店頭で打ち出されています。脱ぎ着が楽で使い勝手が良く、着られる期間が長い=コスパが良いという点で支持が広がっています。
前回の記事で「今季のコートはショート丈が旬」と書きましたが、反対にジレはロング丈が拡大しています。代表例は「ユニクロ(UNIQLO)」。 “ウルトラライトダウン”でロング丈のジレを企画しており、今まさに店頭やECで目立っています。昨秋冬にグループ内コラボである「セオリー(THEORY)」との協業で出していたダウンのロングジレが好評だったことから、今季は「ユニクロ」の本ラインでの展開になりました。今季は“ウルトラライトダウン”の値上げも注目を集めていますが、ロングジレのような付加価値の高いデザインを投入することで、「値上げしても買いたい」と思わせる仕掛けになっています。
よりフォーマルなデザインでもロングジレが出ています。オンワード樫山の「アンクレイヴ(UNCRAVE)」が企画していたのは、スーツ感覚で着られるロングジレとパンツのセットアップ。ジレだと、通常のジャケットよりも華やかでドレッシーな印象になります。ベイクルーズグループの「ジャーナルスタンダード(JOURNAL STANDARD)」は定番トレンチコートの、同じく「イエナ(IENA)」はベーシックなウールコートの袖をカットオフしたデザインでロングジレを企画していました。
もちろん、ショート丈のジレも多数出ていましたが、中でもアウターの上にジレを重ねて着こなしで差をつける提案が新鮮です。ビームスの「レイ ビームス(RAY BEAMS)」はエナメルタッチのコートの上に毛足のあるジレを合わせて質感の差をポイントに。ユナイテッドアローズの「ビューティ&ユース(BEAUTY & YOUTH)」はクラシカルなセットアップの上にスポーティーなダウンジレを合わせてテーストミックスしていました。中綿入りのジレの上からビンテージのベルトを合わせていたアダストリア子会社、エレメントルールの「カレンソロジー(CURENSOLOGY)」の着こなしも参考になりそうです。