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絶対に負けられない戦い、始まる

 大型コラボレーションの連続で話題には事欠かない一方で、ビジネスでは苦しい状況のアディダスが、復調傾向のプーマからビョルン・グルデンCEOを新たなCEOとして2023年1月1日付で迎え入れます。プーマは派手なプロモーションこそ少ない印象ですが、欧米を中心に売上高を着実に伸ばしており、その手腕を期待しての人事だと想像できます。

 そして、スポーツメーカーにとって絶好のプロモーション機会となる2022年FIFAワールドカップ・カタール大会の開幕が、いよいよ迫ってきました。アディダスは参加32カ国中、日本を含む7カ国のユニホームのサプライヤーです。ナイキがシェアトップの13カ国で、プーマは6カ国。スポーツメーカーにとって“本業”での結果は、のどから手が出るほどほしいプロモーション材料でしょう。特に、今のアディダスにとっては。フィールドで戦うのは選手ですが、スポーツメーカー同士の絶対に負けられない戦いはすでに始まっています。

大塚 千践
NEWS 01

アディダス、新たなCEOとしてプーマのCEOを任命

 アディダス(ADIDAS)は11月8日、カスパー・ローステッド(Kasper Rorsted)最高経営責任者(CEO)の後任として、プーマ(PUMA)のビョルン・グルデン(Bjorn Gulden)CEOを任命した。2023年1月1日付で就任する。ローステッドCEOが退任を発表した8月の時点では後任が未定だったため、同氏は23年前半まで現職にとどまる見込みだったが、グルデン新CEOの任命に伴い11月11日付でアディダスを離れる。グルデン新CEOの就任までは、ハーム・オルマイヤー(Harm Ohlmeyer)最高財務責任者が暫定的に同社を率いるという。

 グルデン新CEOはノルウェー出身の57歳で、以前はサッカーとハンドボールのプロ選手として活躍。1992〜99年には、アディダスのアパレル&アクセサリー部門のシニア・バイス・プレジデントを務めていた。また、デンマークのジュエリー会社パンドラ(PANDORA)のCEOに加えて、ドイツのシューズメーカーであるダイヒマン(DEICHMANN)や、アメリカのフットウエア小売会社ラックルームシューズ(RACK ROOM SHOES)などで要職を歴任。2013年からプーマのCEOを務めている。

 ここ数週間、アディダスが後任探しのためグルデンCEOに接触しているのではないかという憶測が広まっていたが、プーマが10月26日に第3四半期決算を発表した際、同氏は記者からの質問に対して「そうしたオファーは受けていない」と返答。しかし、11月4日にプーマがグルデンCEOとの契約を更新しないと発表したことを受け、アディダスも同日、グルデンCEOを後任候補としてインタビューしていることを明らかにした。なお、プーマは新たなCEOとしてアルネ・フロイント(Arne Freundt)=チーフ・コマーシャル・オフィサーを任命した。

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NEWS 02

ミズノ過去最高業績 4〜9月、ゴルフけん引

 ミズノは9日、2023年3月期連結業績の純利益が過去最高の85億円になりそうだと発表した。従来予想の70億円から15億円積み増す。米州をはじめとした海外市場でゴルフクラブなどの販売が想定を上回った。国内市場でもコロナの行動規制が緩和されたことで、野球、サッカーなどの分野が回復した。純利益以外も上方修正し、売上高1950億円(修正前は1830億円)、営業利益115億円(同105億円)を見込む。営業利益も過去最高を更新する。

 同日発表した4〜9月期連結業績は、売上高が前年同期比16.6%増の992億円、営業利益が同46.1%増の81億円、純利益が50.1%増の64億円になった。4〜9月期として全項目で過去最高を更新した。日本、米州、欧州、韓国など世界的に単価の高いゴルフクラブの販売が伸びた。コスト削減策によって販管費率が3.0ポイント減らしたことが、利益の底上げにつながった。

 地域別の売上高は、日本が14%増の621億円、米州が24%増の154億円、欧州が17%増の112億円、アジア・オセアニアが20%増の105億円だった。

 大阪で決算説明会に登壇した水野明人社長は「ゴルフについては、われわれも目論みというよりも感染症による(屋外スポーツへの)後押しがあった」「ゴルフはプレイヤーの高齢化の不安があったが、若いお客さまが多く参入されている」と話した。

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最新号の読みどころ

「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。