百貨店やセレクト有力店のバイヤーに2023年春夏の傾向や注目ブランド、久しぶりの現地での買い付けの様子を聞いた。春夏は現地に訪れたからこそ得られたブランドの世界観や意志を発信していく。3社共通して、チュールやシアー素材は売れ筋と見込む。
※各店の買い付け商品は、写真の洋服と異なる場合があります。
ヌーディーなテクスチャーにも注目 カラー×生地でアイデンティティーを表現
神谷将太/伊勢丹新宿本店リ・スタイルバイヤー
「2年半ぶりの現地での買い付けは、高揚感があった」と振り返る。特にデザイナーとの会話から得られる、服の背景や価値観を重視し「“社会の中のファッション”をより強く意識」しながら、例年以上の10ブランド以上を新規導入した。
例えば長谷川照洋とウィング・ライ(Wing “Jianying” Lai)が手掛ける「ガーウィン(GURTWEIN)」。コロナ禍でモノづくりの拠点を日本に移し、クラフツマンシップの発信に力を入れる姿勢に共感した。今季のキーワードである「ナチュラルミニマリズム」や「定番アイテムの再定義」に通ずるアイテムも豊富だ。リ・スタイルの顧客の間では、デイリーに着られる洗練されたアイテムの需要が高まっており、「高価格帯でも説得力のある上質なブランドのバリエーションを強化していく」という。今季ウィメンズアイテムを披露した「ターク(TAAKK)」は、「ジェンダーレスではなく、コントラストをはっきりさせ女性に向けた服を作りたいと話すデザイナーの意志が面白いと思った」。そのほか日本の絞り技術を核とするドイツの「ユリア ホイヤー(JULIA HEUER)」などを新規導入した。
春夏から秋にかけて店頭では、チュールやシアー素材のアイテムが好調だった。「肌見せ」トレンドは、シアー素材のレイヤードのほか、個性的なカットアウトのディテールなどで取り入れる顧客も多い。23年春夏も引き続き「CFCL」や「チカ キサダ(CHIKA KISADA)」「モリー ゴダード(MOLLY GODDARD)」「ハイク(HYKE)」などが提案したシアー素材のレイヤードスタイルを強化する。加えてランジェリーをアンダーウエアとアウターの中間的な要素として取り入れたスタイリングも合わせて提案する。
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