「世界には日本の人口と同じくらいの数の難民がいる」「異文化を持つ人と仕事をし、生活することは日本人の国際化のためにも重要」。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は11月9日、同社が国連難民高等弁務官事務所(以下、UNHCR)とスタートしたバングラデシュのロヒンギャ難民女性の自立支援プロジェクトについての記者会見に登壇した。同社は06年からUNHCRと連携、11年にアジアの企業として初めてグローバルパートナーシップを締結し、店舗での難民雇用や難民への衣料支援なども行なってきた。会見での柳井会長の言葉をまとめた。
柳井正ファーストリテイリング会長兼社長:一般の日本人にとって、難民問題はとても遠く感じるものだと思います。世界には現在1億人以上の難民や国内避難民がおり、ほぼ日本の人口と同じくらいであるという事実を、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに初めて知ったという人も多いと思います。ただ、それ以前から8000万〜9000万人の難民が世界各地にいたということです。アジアでは例えばミャンマーやアフガニスタン、アフリカ、中近東、中南米と世界中に難民はあふれています。そして、世界中の政府や人がそれを助けようとしている。
難民の方も好き好んで難民になったわけではありません。貧困にあえぐ人ばかりが難民になるわけではないし、難民になるのは女性や子どもが多い。だからこれは(遠い問題ではなく)われわれの問題だと思う。特に日本は過去にもいろんな戦争がありましたし、将来戦争が起こる可能性もある。日本が難民の方にとっていい国であることが大切だと思います。
国が違えば文化も違います。異文化を受け入れてインテグレートする(まとめていく)、その手立てをほとんどの日本人は知りません。(難民問題に向き合っていくことは)日本人が国際化するうえでもすごく重要です。異文化を持つ人と仕事をし、生活するという機会が日本はあまりにも少なくて、国際社会に対応できない。そういう意味でも、難民問題に向き合うことは非常に大切です。
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