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モンゴルカシミアの原価と生産工程を見える化、みん電がブロックチェーン技術で

 アップデーター(UPDATER、2021年にみんな電力から社名変更)はこのほど、カシミア製品の生産工程の全てのコストを1円単位で開示した「タドれるカシミア」を発表し、フーディ(2万3650円)やストール(1万6830円)の販売を開始した。「タドれるカシミア」は、同社の再エネ事業の電力取引証明で使用するブロックチェーン技術「エネクション2.0(ENECTION2.0)」(パブリックチェーン「ステラ(Stellar)」をベースにしている)を応用したもので、カシミア山羊の原毛採取からオンライン販売までの全ての工程における原価を開示するもの。支払い先と金額を改ざんできない状態を証明する。

 事業立ち上げのきっかけは、モンゴル出身の留学生で同社インターンのアマルバヤル・アリウンジャルガルさんの「カシミアが適正な価格で取引されていない」という問題意識だった。世界のカシミア採取量のうち約半分が生産されるモンゴルは、ここ数年で25%の物価高になり、原毛の販売だけではカシミア山羊の数を増やさない限り、生産者の収入向上にはつながらないという。「カシミア山羊は根こそぎ草を食べるため、数の増加はそのまま環境破壊(砂漠化)につながりかねない」ーー環境問題を学ぶアリウンジャルガルさんの視点から始まった。

 現在、遊牧民の4家族で実証実験を行っており、今回は製品のみを販売した。今後、糸売りも視野に入れる。「日本のマーケットに最もフィットするのは糸売りだ。トレーサビリティの重要性を広げるために、今後、いくつかの事業者と糸から協働していきたい」と福留聖樹・新規事業推進部サスティナビリティ領域プロデューサー。

 野澤貴子新事業推進部タドリ(TADORi)チームマネジャーは「適切な購入価格で原毛を仕入れ、モンゴル国内の製毛工場と紡績工場を経て、デザインから製品生産まで一気通貫し、“モンゴル国産”にこだわることでモンゴルのカシミア産業を活性化しようと考えた。遊牧民の3割がこの仕組みを取り入れれば世界は変わるはず。国を巻き込んで拡大していきたい」と意気込む。

 ブロックチェーン技術は、環境や人権に配慮したサプライチェーン構築の証明に有効的で、すでに欧米を中心に有力企業が導入している。福留プロデューサーは、「われわれの持つ技術の強みは(ブロックチェーンを用いた)証明コストと電力消費量を抑えられる点だ。既存システムをベースに構築することでコストも抑えることができる。今後、企業に求められる情報開示にも貢献できると確信しており、成功事例を作っていきたい」と語った。

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