アリババグループは11月1〜11日、中国最大のショッピングイベント「天猫ダブルイレブン(俗称:独身の日セール、以下、W11)」を開催した。14回目となる今年は29万以上のブランドが参加し、1700万以上の商品を出品した。
現在、同社が運営する越境EC「天猫国際(Tモール・グローバル)」を通じ、世界90以上の国と地域から約4万近くの海外ブランドが中国の小売市場に進出する。日本ブランドによる売上高は今年のW11で、越境EC国・地域別ランキングでTOP3に輝いた。今年は、中国消費者の巣ごもり需要や健康意識の高まりを受け、家庭で楽しむことができるおうちスパ用品やサロン向けシャンプー、ホームフレグランス、インテリアなどが、若い消費者の中で新しい消費トレンドとなった。
化粧品に配合する有効成分を重視する傾向も高まっており、エイジングケアや抗酸化効果が期待できるセラミドやレチノール、ビタミンC、ビタミンEなどを取り入れたワンランク上のスキンケア商品が支持を集めている。W11の初日は、抗酸化セラムの売り上げは前年同日比で181%増、さらに抗酸化スキンマスクの売り上げは同15倍と伸長した。
また男性化粧品の需要が高まり、中国化粧品市場の成長をけん引している。21年8月から、Tモールで男性化粧品を重要な商品カテゴリーと位置づけ、化粧品カテゴリーの新たな成長領域として注力し続けている。W11の第1回販売期間(10月31日20時〜11月3日終日)において、男性用リップクリーム、エイジングケアセラム、ボディースクラブが好調だった。
資生堂は6月にZ世代男性向け化粧品ブランド「サイドキック(SIDEKICK)」を発売し、翌月に中国市場に正式に進出した。中国ではアリババのTモールを中心に主にECで販売を行う。中国調査会社アイメディアリサーチの調査データによると、21年中国の化粧品市場は前年比15%増の4553億元(約8兆9983億円)に達し、ほぼコロナ前の水準に戻った。そのうち、男性化粧品は同24%増の99億元(約1955億円)で全体の2%を占める。「サイドキック」中国市場ブランド担当者のグレイ・ガオ(Gray Gao)氏は「中国の男顔経済(=男性美容経済)に高い期待値と確信を持っている」とコメントする。Tモールのデジタルツールを駆使し、ブランドターゲットの消費者層をより高い精度で定めることができたという。中国の男性消費者は趣味が共通したコミュニティーに強い関心を示すため、「サイドキック」はキャンプやフライングディスク、サーフスケートなどの団体イベントとのコラボレーションを通じて商品の利用シーンを消費者に提案し、より深いコミュニケーションを図っている。
アリババグループは越境EC事業を通して、今後3年間で1000以上の海外ブランドの売り上げが1000万元(約2億円)を超えるよう支援を続けると発表した。また、同社の物流会社であるツァイニャオは、エンドツーエンドの国際物流サービスを提供しており、自社の包括的なエコシステムと多種多様なサービスを活用し、W11以降も日本企業が安心して事業を行える環境を整備・提供し、海外事業の成長を支える。
アリババ