マッシュホールディングス(HD)の2022年8月期は、売上高が前期比14%増の1023億円で、同社としては初めて1000億円を突破した。営業利益は98億円だった。売上高の約8割を占めるファッション事業の主力ブランドが軒並み2ケタ増収と好調で、業績を大きくけん引した。
事業子会社マッシュスタイルラボが運営するファッション事業の売上高は前期比18%増の795億円。基幹ブランドの「ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)」は同15%増の276億円で、コロナ前の19年8月期との比較でも72%増と伸ばした。コロナ禍でのステイホーム需要が一巡する中でも強さを見せる要因は、「ベーシックな商品における高水準の企画力と、コラボによる話題性を両立できたこと」と近藤広幸マッシュHD社長。当期のコラボ企画数は17を数え、コラボ商品のみで売上高が60億円以上に達した。
「スナイデル(SNIDEL)」は同38%増の189億円。近藤社長は「何度も反省会を繰り返しながら、愚直に商品をブラッシュアップしてきた。向上心の強いチーム力が生み出した成果だ」と強調する。その他の主なブランドの売上高は「ミラ オーウェン(MILA OWEN)」が同12%増の90億円、「フレイ アイディー(FRAY I.D)」が同19%増の72億円。
海外では中国での認知拡大に一定の手応えを得た。同国最大級のショッピングイベントである昨年の「独身の日」(11月11日)は、過去最高の8億7000万円を売り上げた。北米事業は「ジェラート ピケ」のEC販売好調により「黒字化は目前」。
23年8月期は売上高が前期比7.5%増の1100億円を予想する。営業利益に関しては、円安や輸送費高騰の影響により「見通すことは難しい」とする。厳しい商環境が続く中で、「(今期の業績は)決して楽観視できない。商品ごと特性を見極めながらの適正な価格設定と付加価値の提供が必要だ」と話す。