ドレイク(Drake)と21サヴェージ(21 Savage)が「ヴォーグ(VOGUE)」を模倣した雑誌(以下、偽「ヴォーグ」)を製作し、11月4日に発売した新アルバム“Her Loss”のプロモーションに利用したことが商標権侵害や不当表示などにあたるとして、「ヴォーグ」出版元のコンデナスト(CONDENAST)は7日、ドレイクと21サヴェージおよびドレイクのPRを担当するヒルチック・ストラテジーズ(HILTZIK STRATEGIES)を相手取り、400万ドル(約5億6000万円)の損害賠償や偽「ヴォーグ」を使用した広告宣伝を差し止める旨の仮処分命令などを求めてニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提訴した。裁判所はその2日後の9日、ヴォーグの訴えを認め、偽「ヴォーグ」の使用や陳列、配布、流通などの行為を禁止する仮処分命令を下した。これを受けてドレイクらは、偽「ヴォーグ」に関するSNS上の投稿を削除している。
ドレイクは自身のインスタグラムアカウントに偽「ヴォーグ」の写真を投稿し、「ヴォーグ」の公式アカウントおよび同誌の編集長であるアナ・ウィンター(Anna Wintour)に謝辞を述べた。これに対してコンデナストは「『ヴォーグ』もアナ・ウィンターもアルバムのプロモーションに一切かかわっていない。また、コンデナストは偽『ヴォーグ』を製作し展開することについて承認も支援もしていない」と訴状で述べている。
また、コンデナストは、この投稿の後、「ヴォーグ」がドレイクおよび21サヴェージとコラボレーションしたという誤報が流れ、その報道を見て事実を誤認したファンがドレイクの投稿に喜びのコメントを投稿していることを挙げ、「世間の混乱は目に余るものがある」と批判している。
コンデナストは10月31日以降、ドレイクらに侵害行為をやめるよう繰り返し要求してきたが、ドレイクらは何の処置もせず、コンデナストの権利を軽んじ続けたため、法的処置に踏み切ったと主張する。8日時点では依然としてSNSの投稿は掲載されたままだったが、9日に裁判所が偽「ヴォーグ」の使用や流通などを禁止する仮処分命令を下したことを受けて、現在はそれらの投稿を削除している。