マッシュホールディングスは今期(2023年8月期)、業績が足踏みするビューティ事業をテコ入れする。PRや組織体制など、好調なファッション事業の手法を横展開することで復調を目指す。
子会社マッシュビューティーラボが運営するビューティ事業の22年8月期売上高は、前期比横ばいの164億円だった。近藤広幸社長は「コロナによりメイクアップの市況が厳しいというのはもはや言い訳にならない。トレンドのキャッチアップ力、話題性のある商品やイベントの打ち出しが足りなかった」と反省の弁。期中には、小木充マッシュビューティーラボ元副社長や「セルヴォーク(CELVOKE)」の田上陽子ディレクターらキーパーソンが会社を後にした。
23年8月期は、ビューティ事業単体で前期比15%増の181.8億円を目指す。具体的なテコ入れ策として、これまでビューティカテゴリーにおいてはそれぞれブランドごとに行っていたPR体制を見直し、ファッションカテゴリーと同様に「PR事業部」を組織。さらにファッションのPR責任者がビューティの責任者を兼務することで、ノウハウを共有する。また、ビューティ事業のブランド横串でそれぞれの成長を促す「ブランド事業部」も立ち上げた。
今年6月にはマッシュブランドを集めた新ECアプリ「マッシュ ストア」をローンチした。「マッシュ ストア」ではファッションとビューティのトータル提案を強化し、カテゴリーをまたいで利用する客を増やす狙いだ。それに先立ち5月には、ファッションとビューティで別々だった会員サービスの統合を完了した。
8月末時点で「マッシュ ストア」アプリのダウンロード数は22万。来年春には積極的なプロモーションにより利用者の獲得を加速する。「(同社の)会員512万人がアプリを通じて当社のファッションとビューティの両方を楽しんでいただき、店舗への誘客にもつながれば、シナジーは大きいはずだ」とみる。
メンズファッションとライセンス事業
それぞれ「売上高100億円」を狙う
メンズファッションやライセンス事業にも成長余地を見出す。メンズファッション事業の22年8月期売上高は前期比18%増の41億円で、大部分を「ジェラート ピケ」のメンズライン“ジェラート ピケ オム”が占める。今年春にスタートした「アウール(AOURE)」は3年以内に売上高30億円に育てる計画で、「将来的にはメンズ事業で100億円の売り上げ規模を作っていきたい」とする。
新会社バブアー パートナーズジャパンを設立しライセンス展開を始めた「バブアー(BARBOUR)」は、伊勢丹新宿本店メンズ館、大丸東京店、ルクアイーレ大阪に直営店を出した。マッシュの事業ポートフォリオにはないアウトドアのノウハウを学ぶとともに、ここでも「エコストア(ECO STORE)」などと合わせたライセンス事業分野として、売上高100億円の事業規模創出を狙う。