REPORT
“不釣り合い”を楽しむ自由なスピリットと“スポンテニアス”な着こなし
「マルニ(MARNI)」のショー会場は、朝から降り続く冷たい雨を忘れ去るような、レモンイエローの壁紙に包まれた温かい空間。そこに登場した服は、どこか懐かしいビビッドな赤、青、黄色のマルチカラーの色使いと、造形的で丸いフォームが印象的だ。今季のキーワードは〝不釣り合い”。特徴のあるアイテムを自由に合わせることから生まれる「アンバランスな着こなしを楽しんでほしい」というのがデザイナーのコンスエロ・カスティリオーニからのメッセージのようだ。
ファーストルックは、バックスタイルが長くアシンメトリーになったケープと、ヒジから下が大きく膨らんだビショップスリーブの白いブラウスのレイヤードスタイル。このブラウスの袖には、大きな丸いボタンが付いていて、バルーンのようなスリーブを着脱することが可能だ。ジャージーのトラックパンツ風のボトムスは、ハイウエストやローウエストで種類豊富に提案。また、曲線を描くようにスリットを入れたスカートは、下にミニスカートを重ねチラ見せする。いずれも、着る人のアイデアによってコーディネートの幅が広がる“スポンテニアス”なマインドを感じ取れるアイテムだ。
“不釣り合い”なデザインは柄や装飾にも表れた。一見、地味な印象になりがちなグレンチェックのコートには、青いレオパード柄のビーズ刺しゅうを大胆に施し、無地のミニワンピースには、大判のスパンコールを胸元に集中的にあしらうなど、アーティスティックで自由なスピリットが溢れている。いびつな迷彩柄やアーガイル柄はトップスやワンピースに採用し、そのインパクトでスタイリングの主役になるアイテムの一つだ。
これらの丸いフォームや華美な装飾などの甘い要素を大人の女性へ提案できるのは、シックなヘアスタイルとメイクの力も大きいだろう。ヘアはウェーブがなめらかな1950年代のハリウッド女優風、メイクは黒みがかった赤いリップがポイントで、「マルニ」ウーマンを強く、洗練された女性像へと変身させた。