ファッション

ユニクロが「サプライチェーンの全工程を管理・把握するシステム」を稼働

 ファーストリテイリングは11月16日、昨年12月に続いて2回目となるサステナビリティ方針説明会を開いた。その中で、トレーサビリティー追求のためにサプライチェーンの全段階を管理・把握するためのシステムを導入したと発表。また、リセールサービスなども可能性を検討しているという。「(ユニクロがコンセプトとして掲げる)“LifeWear”=サステナビリティ。われわれは服を作って売ることはもちろん、作って売った後もコミットしていく」と、柳井康治取締役グループ上席執行役員は話す。

 トレーサビリティーについて、同社は公式ホームページ上で、全縫製・素材工場、縫製工場が委託している先の一部工場を従来から公表している。今後は公表の範囲を紡績工場にも広げる。また、第三者機関による工場監査を受けると共に、グローバルで100人規模の社内プロジェクトチーム担当者が「サプライチェーンの最上流までさかのぼって透明性をチェックする」と昨年の会見で表明していた。

 サプライチェーンの透明性のさらなる担保のため、この1年の間に「1つ1つの商品につき、その計画時点からサプライチェーンのどの段階でどこの工場で作るかを管理するシステムを作成し、実際にその計画に沿って作られたかも管理できるプログラム」を導入した。それを生かし、「2023年中に一部商品はECサイト上で縫製した国を公表し、素材生産国も公表する準備を進める」と新田幸弘グループ執行役員。

 その上で、25年中に「ほぼ全ての商品で、お客さまが正しく選択できるための情報を開示する」ことを計画中だ。「われわれはサプライチェーンの全ての工程を把握できている。ただ、情報は膨大なので、お客さまが買い物・選択をする際に本当に必要な開示情報は何なのかを、(同社のカスタマーセンターやECレビューなどに集まる客の声である)ボイス・オブ・カスタマーなどを参照に判断していく」という。

 リセールサービスについては「具体的にいつ始めるかといったことは未定だが、それ以外の可能性も含めて社内で検討をスタートした」と柳井取締役。「(一部店舗で開始している)長く着続けるためのリペアサービスや、リセールによって新品を買う機会はもしかしたら減るかもしれないが、服を買わなくなるわけではない。『どうせ買うならリペアやリセールができるユニクロで買おう』と思ってもらえれば、新たなビジネスチャンスを生む」と続ける。競合の「H&M」は19年にリセールのスタートアップ企業を買収してリセールに参入しており、「ザラ(ZARA)」は11月に、英国でリペアやリセールのプログラムを試験スタートしている。

 素材面では、「30年度までにリサイクル素材・CO2排出量の非常に少ない素材の使用割合を全商品の50%にまで高める」ことを目標としている中で、22年度は約5%であったことを発表。ユニクロの主要素材であり、最もリサイクル素材の使用が進んでいるポリエステルでは約16%だった。「計画通りの進捗」(柳井取締役)という。 

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