フランス発シャンパーニュメゾン「ペリエ ジュエ(PERRIER-JOUET)」といえば、ボトルに描かれたジャパニーズ・アネモネがトレードマークだ。そのアネモネは、アール・ヌーヴォーを代表するガラス作家のエミール・ガレ(Emile Galle)によるものだ。それが描かれてから、今年は120周年を迎えた。周年を記念し「ペリエ ジュエ」“ベル エポック 2013 アニバーサリー エディション”が登場。7代目最高醸造責任者のエルヴェ・デシャン(Herve Dechamps)と8代目最高醸造責任者のセブリーヌ・フレルソン(Severine Frerson)の4本の手でつくられた貴重なものをベースに特別なドサージュを加えたものだ。ボトルのデザインは、オーストリア・ウィーンを拠点にするデザインデュオのミシャー‘トラクスラーが担当。ブドウ畑の70種類もの生き物が鮮やかに共生している姿が描かれている。イベントのために来日した8代目最高醸造責任者であるフレルソンに、「ペリエ ジュエ」のアイデンティティーやDNAについて聞いた。
WWD:来日の目的は?
セブリーヌ・フレルソン=ペリエ ジュエ8代目最高醸造責任者(以下、フレルソン):ガレがボトルに描いたアネモネの120周年を祝うイベントに参加するため。クライアントと会う目的もある。だが、イベントによる新しい出会いを大切にしたい。
WWD:「ペリエ ジュエ」が他のシャンパーニュメゾンと違う点は?
フレルソン:まず、アーティスティックであること。アートと自然、ワイン造りの共生に尽きる。「ペリエ ジュエ」はピエール・ニコラ・ペリエ(Pierre-Nicolas Perrier)とローズ・アデル・ジュエ(Rose-Adelaide Jouet)により1811年に創業し、妻のローズがアンバサダー的な存在だった。彼女は、芸術に情熱を注ぎ館に多くの人を招いていた。ピエールも息子のシャルルも植物学者で、温室でオレンジなどを栽培して植物の病気の研究をしていた。そこで、天候が良くなくても、ブドウの栽培に影響しない畑をつくれるように尽力した。また、世代から世代へ受け継がれるシャンパーニュで、1825年のキュベが最も古いものだ。われわれならではの、シャルドネのフローラルな香りが特徴だ。
WWD:ガレにボトルのデザインを依頼した経緯は?
フレルソン:創業者の息子の甥であるオクターブ・ガリスがガレに「ペリエ ジュエ」の印象で描いてほしいと依頼したのが発端だ。ガレは、「ペリエ ジュエ」のシャンパーニュのエレガントな繊細さ、フローラルな点をアネモネで表現した。
WWD :アネモネのボトルがシグニチャーになった理由は?
フレルソン:1902年にガレによりデザインされたボトルは、大戦を経て一時忘れられていたが、大戦後に復活した。
WWD:「ペリエ ジュエ」がアートとのコラボレーションに積極的な理由は?
フレルソン:アートを通してジャンパーニュを再解釈するのがわれわれのDNA。自然との共生をテーマにした活動を行なっている。
WWD:「ペリエ ジュエ」で行なっているサステナビリティの活動は?
フレルソン:ブドウ畑の生物多様性を大切にしており、ブドウ栽培の列の間にクローバーやシリアルなどを栽培している。それにより、ブドウに自然に栄養が行き渡るようにしている。麦などの穀物系もテロワールには植えている。ブドウの収穫後の9月には、さまざまな種を蒔いて、翌年の5月ごろに育ったものを土に倒し、栄養を与えるようにしている。また、バイオマスの観点から養蜂も行なっている。
WWD:シャンパーニュの楽しみ方は?
フレルソン:保管方法が大切。日光を避けて、温度差の少ないところで保管するのが重要だ。アペリティフでは8~10℃、食事は10~12℃が適する。グラスは「ベル エポック」のアロマが楽しめるようなものが理想だ。グラスは、洗剤を使わずに熱湯で洗い、布でよく拭くべき。そうすれば。シャンパーニュの泡立ちを楽しめる。シャンパーニュは、アペロでは、ホタテのカルパッチョやパルメザンチーズなどと合う。ワインとしてなら、寿司が最適。魚料理にも合うし、ロゼは和牛と合うはずだ。