「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現」をビジョンに掲げるマクアケは、ブランドが持つべきパーパスの可視化や、その伝え方、ユーザーとのコミュニケーション作りなどでメーカーに寄り添い、モノづくり企業がモノづくりに集中できる環境整備に一役買っている。ブランドの伴走者、キュレーターが過去の事例を踏まえながら、応援されるブランドの共通点を探る。 (この記事はWWDジャパン2022年11月21日号からの抜粋です)
今回お話を伺ったのは、国内トップシェアを誇る「カイハラデニム」で有名なデニム生地メーカーのカイハラです。同社は1893年に手織り正藍染絣を製造する機屋として創業。1970年には日本初のロープ染色機を完成させ、その後デニム生地の製造における全工程を一気通貫で生産できる体制を構築。高品質なデニム生地を製造するメーカーとして成長を遂げました。現在、カイハラの国内シェアは約半分を占めており、輸出先は約30カ国にのぼります。
従来BtoBビジネスをメーンに、さまざまなブランドにデニム生地を提供してきたカイハラですが、自社製品にも着手しています。2021年には原料の選定から試行錯誤を繰り返し、10年の歳月を経て完成させたデニム生地「MONSTER STRETCH®」を活用した、驚異の伸長率70%のデニム「カイハラ ザ ストレッチ ジーンズ」を開発し、「マクアケ」でプロジェクトを実施しました。同プロジェクトは650人のお客さまから支持いただき、合計1400万円以上の応援購入が集まるなど、大きな注目を集めました。
それに続き今回は、太陽光に含まれる近赤外線を吸収して熱エネルギーに変換・発熱することが可能な近赤外線吸収材料「CWO®」を繊維用途に加工した素材「ヒナタ」を活用した「ヒナタダウンジャケット」を新たに開発し、9月下旬から10月末まで「マクアケ」でプロジェクトを実施しました。最大の特徴である「近赤外線を吸収し、プラス20℃以上発熱する」という特徴に期待が寄せられ、結果690万円以上の応援購入が集まりました。
デニムの概念にとらわれない 年間800件以上の生地開発
「デニム生地メーカー」であるカイハラから、従来のデニムの域を超えたユニークな自社製品が生まれ、多くの方から応援されている要因をひもときます。1点目は、現状を良しとせず、常に進化と発展に力を注いでいる点です。カイハラは「新しいことにチャレンジし続けていかないと、日本でモノづくりをしていく意味がない」と考え、常に新たな可能性を模索しながらモノづくりを続け、年間の生地開発数はなんと800件以上にのぼります。新しい生地づくりにはコストや手間もかかりますが、顧客企業の要望に基づいた開発や、新たな可能性を見いだすためのシーズ(種)開発に常時挑戦しています。
今回の「ヒナタダウンジャケット」においては、取引先企業の共同印刷から住友金属鉱山が発明した六方晶タングステンブロンズのナノ材料「CWO®」の紹介を受け、カイハラのメンバーが試してみたところすぐ暖かくなる点に驚きを覚え、「これはすごい。デニムにも生かせる画期的な技術なのでは」と、繊維用途への開発にのめり込んだと言います。
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