これまで「リカフロッシュ(RICAFROSH)」「ユーチュー(U/CHOO)」などD2Cコスメを手掛けてきたダイレクトテック(Direct Tech)が新事業としてD2Cコスメブランド立ち上げ支援サービス「ディーツーシーギャラリー(D2C GALLERY)」を始動した。第1弾プロジェクトはアイドルでインフルエンサーの戦慄かなのとの協働プロデュースコスメ「ファブ フィグ(FAB FIG)」だ。販売はアナイスプロダクトが行い、11月24日に公式サイトで4種、16SKUがデビューする。
7月末の提供開始後、すでに多くの問い合わせを受ける「ディーツーシーギャラリー」は今後3年以内に25件のブランド支援、年商10億円を目標に掲げる。堀ノ内丈史ダイレクトテック取締役は「以前から企業やインフルエンサーからコスメ製造やコンサルティングなど、多くの問い合わせや依頼をいただき、サービスとして展開することを決めた。9月末までで200件ほどの問い合わせをいただいている」と反響を語る。
インフルエンサーが手がけるブランドが多く登場する中、ダイレクトテックは手がけるブランドを次々にヒットさせてきた。そのノウハウを生かしたブランド支援を行うというのがサービスの強みだ。堀ノ内取締役は「インフルエンサーが作りたいもの、企業が売りたいもの、消費者が欲しいものと価格のミスマッチが非常に多いと感じる。当社はマーケットインのもの作りが得意なので、事業設計から入り、高速でPDCAを回してブランドを成長させていくサポートができる」と話す。また戦略部分だけでなく開発、物流までワンストップのサポートも行う。
またブランド立ち上げまでのスピードも強みの一つ。「ファブ フィグ」を含め4ブランドの企画が動いており、着々とローンチに近づいている。「これまで当社で支援したクリエイター、アーティストさんはもの作りのプロではないが、独創的な発想を持っていた。共通言語がない中でキャッチアップをする難しさがありつつ、そこを試行錯誤することでプロデューサーのイメージをより再現性高くアウトプットできた」と堀ノ内取締役。適切なすり合わせによりサンプル出しの回数を減らしながらクオリティーの高い商品を生み出すこと、また予約販売などD2Cならではの販売手法で早く、適切なタイミングでのローンチが可能になるという。
堀ノ内取締役は“売れるD2Cブランド”を作る上で、3つのポイントがあると話す。「正しいコンシューマー設定とプロダクト、PR、ユーザーコミュニケーションが大事。特にわれわれが重きを置いてるのはプロダクトで、リリースした商品に消費者が満足してくれたかどうかを年間購入回数(リピート率)を指標にして見ている。口コミのバイラルができる、次も買ってもらえる商品力が非常に重要だ」。
またSNSでの直接コミュニケーションも重視しており、新ブランド「ファブ フィグ」では戦慄かなの・プロデューサーのキャラクターを反映したPR設計を行っているという。ブランドローンチまでには公式ツイッターへの「いいね」数で徐々にサイトが公開されるという仕掛けを行い、SNSで大きく拡散された。
戦慄かなのプロデューサーが描く「ファビュラス」なコスメとは?
「ファブ フィグ」は「THE REAL FABULOUS MAKE UP」をコンセプトに、今までなかった色味や発色、きらめきに注力したアイテムをそろえた。戦慄プロデューサーは「コスメに対してこだわりが強く、いつかコスメブランドを作りたいと思っていて(ダイレクトテックに)声をかけた。私のメイクスタイルを支持してもらえることが多く、私が本当に作りたいものを作れば、それも支持してもらえるんじゃないかと考えている」と話す。
コンセプトにも入る“ファビュラス”は戦慄プロデューサーの代名詞。「小学生の頃からブリトニー・スピアーズのような海外セレブが好きで、そのきらびやかなイメージを表す言葉。私が好きな雰囲気はずっとY2K(2000年代)。トレンドが回ってきたと思う」と話す。
まさに“ファビュラス”なきらびやかさをまとったアイテムの中でも代表製品が“べストエバーシャインチーク”だ。微細ラメとマットの2カラーを重ねることで内側から発光したような艶感を作り出す。戦慄プロデューサーは「私はメイクに対してこだわりが強く、チークは4種を混ぜて使う。1種ではなく重ねることが綺麗に見せる上で大事。ファンの子たちには使っているコスメを尋ねられることが多いが、4つもチークを持ち歩けないと思い、チークのセットを作ろうと思った」という。特にラメ感と色味にこだわり、塗った後の光の加減、誰にでもしっくりくる色味などサンプル出しを重ねた。この調整過程にも、ダイレクトテックならではのものづくりのノウハウが生きている。
また“ネバーストップマスカラ”は色ごとにテクスチャー、ブラシを変えるこだわりを見せた。「まつ毛が長いと顔が盛れる。まつ毛の量が足りない人にはブラック、すでに長さも量もあって垢抜けたい人にはブラウン、と使う人を分けて考えた」と戦慄プロデューサー。彼女ならではの商品を使う消費者を思い描きながら作った商品がブランドの魅力だ。