「グッチ(GUCCI)」と親会社のケリング(KERING)は23日(中央ヨーロッパ時間)、同ブランドのクリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)がブランドを去ることを正式に発表した。米「WWD」は22日、このニュースをいち早く報じていた。後任は未定。声明によると、「新しいクリエイティブ組織が発表されるまで、デザインオフィスはメゾンの方向性を引き継いでいく」という。
2002年に「グッチ」のデザインオフィスに加わり、15年1月からクリエイティブ・ディレクターを務めてきたミケーレは、「私たち一人ひとりが持つ視点の違いにより、道が別れる時がある。今日、私の愛と創造的な情熱の全てをたゆまず捧げてきた会社での20年以上にわたる素晴らしい旅が終わりを迎えた」とコメント。「この長い間、『グッチ』は私のホームであり、養子縁組したファミリーだった。この大家族に、そして『グッチ』を見守り支えてくれた全ての人々に、心からの感謝と最大かつ心からのハグを贈る。彼らと共に、私は願い、夢を見て、想像をふくらませてきた。彼らがいなければ、私がこれまで築いてきたものは何一つ実現できなかっただろう。そして彼らに心からの願いを捧げる。人生を価値のあるものにする繊細で形のない夢をこれからも育み続けられますように。自分の価値観に忠実であり続けながら、詩的かつインクルーシブなイメージで自分自身を養い続けることができるように。そして、自由な風に吹かれ、常に情熱を持って生きることができますように」と話す。
ミケーレをクリエイティブ・ディレクターに起用したマルコ・ビッザーリ(Marco Bizzarri)社長兼最高経営責任者(CEO)は、「14年の終わりにアレッサンドロと出会い、以降共に働き素晴らしい成功を収めることができて、本当に光栄だ。彼の20年に渡る『グッチ』への貢献、比類なき愛、ユニークなビジョンに感謝したい」とコメント。また、フランソワ・アンリ・ピノー(François-Henri Pinault)=ケリング会長兼CEOは、「『グッチ』とアレッサンドロがこれまで共に歩んできた道はユニークであり、メゾンの歴史における傑出した瞬間として残るだろう。この冒険に、自分自身の多くを捧げてくれたアレッサンドロに感謝している。彼の情熱や想像力、独創性、そしてカルチャーは、『グッチ』 の居場所を中心に押し上げてくれた。彼のクリエイティブな旅の次章が素晴らしいものになることを祈っている」と話す。
後任の人選について、関係者の間では内部昇格が予測されている。ある関係者は、最近スタジオ・デザイン・ディレクターに就任した「グッチ」のベテラン、レモ・マッコ(Remo Macco)の名を上げる。彼は現在、ミケーレの美学とバランスを取るためによりコマーシャルな製品の提案を任されている。もう一人の候補は、同じく「グッチ」のベテランであるダヴィデ・レンネ(Davide Renne)だ。ビジネス特化型SNS「リンクトイン(LinkedIn)」のプロフィールによると、レンネは04年にグッチに入社。現在はデザイン・ディレクターを務めている。
ミケーレは、1972年ローマ生まれ。ローマのファッションアカデミーで学ぶ。「フェンディ(FENDI)」でシニア・アクセサリー・デザイナーを務めた後、2002年にトム・フォード(Tom Ford)率いる「グッチ」のデザインオフィスに参加。11年から当時のクリエイティブ・ディレクターだったフリーダ・ジャンニーニ(Frida Giannini)の“右腕“となるアソシエイト・クリエイティブ・ディレクターを務め、14年からはグッチ傘下の陶器ブランド「リチャード ジノリ(RICHARD GINORI)」のクリエイティブ・ディレクターを兼務してきた。そしてジャンニーニの退任後、15年1月にデザインチームのトップとしてコレクションを披露。その数日後に正式にクリエイティブ・ディレクターに就任した。