ファッション

土屋鞄のグループ会社、京都・祇園にジュエリーショップ開業

 皮革製品の土屋鞄製造所の親会社、ハリズリー(東京、土屋成範社長)は、京都・祇園にジュエリーブランド「ビズー(BIZOUX)」と「ブリリアンス・プラス(BRILLIANCE +)」の複合店を11月19日に開業した。祇園の中でも趣ある街並みが残る祇園新橋地区。重要伝統的建造物群保存地区に建つ町家造りの木造建築の外観はそのままに、店内に入ると「地層」をテーマに層を積み重ねたようなモダンなデザインの内装が印象的だ。

地元の京セラが作った人工宝石も

 1階は子会社ドリームフィールズが展開する天然カラーストーンブランド「ビズー」の店舗。自社バイヤーが世界約20カ国から買い付けた常時100種以上のカラーストーンを使った900種以上のジュエリーに加え、セミオーダー商品も取り扱う。価格は1万円台~30万円台、セミオーダーは10万~200万円台。

 注目は、京都で作られた人工宝石「ラボグロウン・カラーストーン」を使ったサステナブルなシリーズ。高度な科学技術を駆使して作られる人工宝石は、限りある資源を有効活用し、環境破壊や労働問題を解決できる。特に人工ダイヤは海外セレブの間で話題だ。「ビズー」では、アレキサンドライトやパパラチアサファイアの端材を回収して再生成する京セラの人工宝石を使ったジュエリーを販売する。

 セミオーダー専用ショーケースには、サンタマリアカラーアクアマリンやマラヤガーネットなど100種以上が並び、世界に一つだけのリングとネックレス、ペンダントトップが作れる。リングは約1800パターン、ネックレスは約1700パターンのカスタマイズが可能。他には高さ、サイズ、硬度が異なる32粒の宝石を職人技ですき間なく留めたマルチカラーリング「ブーケ」シリーズや、50種から選べるミニマルなデザインのセミオーダー「カラーカクテル」シリーズ、ジェンダーフリーの新ライン、入手困難な希少石などラインナップは多彩だ。

 ハリズリーの土屋社長は「ブライダルといえば、ダイヤモンドが主流だが、最近はカラーストーンの需要が増えている。『ビズー』では120種のカラーストーンを展開している強みを生かし、二人の思い出の色を選べるカラーブライダルも大々的に打ち出していきたい」と話す。

環境破壊が少ない海底ダイヤモンド

 2階は同じく子会社キューが展開するダイヤモンドジュエリーのブランド「ブリリアンス・プラス」のショールームを設けた。ECサイトからスタートした同ブランドは、国内外のサプライヤーの在庫データと連携することで、約3万個ものダイヤモンドをサイト上で一括検索できるのが特徴。サプライヤーから直接買い付けることで適正価格を実現している。ダイヤの種類と枠のデザインを組み合わせてオーダーする完全受注生産制で、主にブライダルジュエリーに対応する。京都店では160種以上のリングやネックレスを取り扱う。

 注目アイテムは、海底から採取する「海底ダイヤモンド」を使ったオリジナルデザインのリング。海底ダイヤモンドとは、地層ごと川に流されたダイヤモンドが、長い年月をかけて海底にたどりついたものだ。海底で採取するため、採掘による環境破壊が少なく、サステナブルな第三のダイヤモンドとして注目されている。同社は、南アフリカで海底ダイヤを採取、加工、販売する英オーシャン・ダイヤモンド社と契約し、成人の専門ダイバーを雇うなど労働環境にも配慮している。

 海底ダイヤモンドについて、同社の三木芳夫社長はこう話す。「多様な価値観が生まれているいま、よりエシカルなものを購入したいというお客さまはもっと増えると思う。私自身、土屋鞄製作所ではリユース事業も手がけていて循環型のブランド作りに興味がある。トレーサビリティがはっきりしない天然ダイヤの世界で、オーシャン・ダイヤモンド社はトレーサビリティがはっきりしていて、採掘にもかなり手間をかけている。その取り組みに共感した」。

 現在「ビズー」の実店舗は京都店を含めると11店舗、「ブリリアンス・プラス」の店舗は京都ショールームを含めて6店舗を展開。京都でひときわ風情のある祇園新橋地区を選んだのは、結婚するカップルの思い出づくりにふさわしい場所だから。「(土屋鞄製造所の)ランドセルのビジネスでは家族の思い出づくりをお手伝いすると言い続けてきた。その成功体験をジュエリービジネスにも生かしていきたい」(土屋社長)という。

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