「WWDJAPAN」のソーシャルエディターは毎日、TwitterやFacebook、Instagram、そしてTikTokをパトロールして、バズった投稿や炎上、注目のトレンドをキャッチしている。この連載では、ソーシャルエディターが気になるSNSトレンドを投げかけ、業界をパトロールする記者とディスカッション。業界を動かす“かもしれない”SNSトレンドの影響力や、投稿がバズったり炎上してしまったりに至った背景を探る。今、SNSでは何が起こっているのか?そして、どう向き合うべきなのか?日々のコミュニケーションのヒントにしたい。

> 「メゾン マルジェラ」×サムスン電子の折り畳みスマホの発売日が12月1日に決定
ソーシャルエディター津田:先日、韓国のサムスン電子が展開しているモバイルブランド「サムスンギャラクシー(SAMSUNG GALAXY)」と「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」のコラボレーションが発表され、SNS上でも多くの注目を集めています。商品は、折り畳みスマートフォンの“ギャラクシーZフリップ4 メゾン マルジェラ エディション“。コラボ発表時のティザームービーも、「メゾン マルジェラ」のシグネチャーカラーである白が基調で、音や映像全てが両者のブランドイメージとマッチしていました。「メゾン マルジェラ」は、本当に世界観を表現するのが上手ですね。12月1日からフランス、香港、韓国で数量限定で販売とのことで、現状日本で手に入れるのは難しそうです。Twitterでも日本では展開されないことを悔しがる両ブランドのファンを多く見かけました。

> 「トム ブラウン」と「サムスン」“ギャラクシー”のコラボ第2弾 アイコニックなトリコロール・ストライプをあしらった特別デザイン
サムスン電子は、過去に「トム ブラウン(THOM BROWNE)」や「メゾン キツネ(MAISON KITSUNE)」ともコラボレーションをしており、それらもすぐに完売したと思いますが、今回は更に激戦必至の争奪戦となる予感がします。アクセサリーとして付属するスマホケース単体での転売なんかもありそうです。
> 「グッチ」が「オーラ」とコラボしたスマートリングを発売 心拍数や睡眠状態などを計測
このように、ファッションブランド×電子機器のコラボレーションはこれからも増えてくると思います。半年前にも、「グッチ(GUCCI)」がウエアラブル・ヘルス・プラットフォームのオーラ(OURA)とコラボしたスマートリングを発売したように、定番のスマートフォンやスマートウオッチ以外のデバイスも徐々に増えつつあります。ラグジュアリーブランドがスマートグラスを発売、なんて日も近そうじゃないですか?
記者村上:実は「トム ブラウン」とのコラボスマホは、1週間ほどお借りして使ったことがあるんです。でも正直、満足できる体験は得られませんでした。
ブランドコラボのガジェットで言えば、毎日夕方6時に「そろそろお疲れでしょう?カクテルでもどう?」みたいなメッセージを表示してくれたり、(な〜んの根拠もなさそうだったけれど)その日のスタイルに応じた着せ替え文字盤を提案してくれた「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」のスマートウオッチの方が、よっぽどファッションらしいエモいスマート機器だったかもしれません。もちろん最先端のテクノロジーにも興味はあるけれど、ファッションらしい“エモさ”やブランドらしさをどう提案してくるのか?「メゾン マルジェラ」のアイデア力に注目ですね。

> 「メゾン マルジェラ」の人気フレグランス”レプリカ” が今だけの限定パッケージで発売
でも、「寝坊した日曜の朝」とか「タバコが香るバー」などの記憶を香りで再現するフレグランスの作り方を考えると、エモく仕上げられそうな気がします。
津田:「ケイト・スペード ニューヨーク」のスマートウオッチの機能いいですね!確かに、そのファッションらしい"エモさ"が、ガジェットの見た目だけだと少し物足りないです。「メゾン マルジェラ」のスマートフォンが発売されたら、何か特別な機能は実装されているのか調べたいと思います。「メゾン マルジェラ」ならではの機能があると嬉しいですね。と言いつつも、僕は自分の大好きなファッションブランドとガジェットのコラボ商品が発売されたら、性能に関係なく、すぐに飛びついてしまう自信がありますが(笑)。
> エアークローゼットが住友商事と業務提携 ファッションと家具家電でサービス拡充へ
ファッションブランドとのコラボ商品がスマートフォンやスマートウオッチ、スマートリングなど基本的に毎日身につける物の場合、それらもスタイルの一部としてコーディネートを考えなければいけない(考えてしまう)という点があります。そう考えると、大ファンでアイテムをいくつか持っていない限り、購入は躊躇してしまうかもしれません。だから家具や家電とのコラボはどうでしょうか?ブランドロゴが入ったテレビや冷蔵庫、コーヒーマシンなんかだと、家の外に出ることはないからコーディネートは関係ないし、部屋の中でも自分の好きなブランドロゴが目に入るから幸せじゃないでしょうか!インテリアの一部にもなると思います。うーん、、なしですかね(笑)?
村上:一番の問題は、家電だと寿命がせいぜい10年ってことですよね。
数年前「ルイ・ヴィトン」のスマートウオッチの“タンブール ホライゾン”を買った時、30万円くらいだったけど、「これは電化製品ですから、持ち続けても価値は上がりませんよ。いいですね?」くらいのテンションで念押しされました(笑)。だから家具はアリでも、家電は難しいかもですね。
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逆に家具は、さまざまなブランドがコラボどころか自力で参入しています。
むしろ家電は、最新のテクノロジーを思いっきり楽しむもの、なんじゃないかな?“ギャラクシーZフリップ4“の一番の利点は、折りたたみスマホゆえのカメラアングルでしょうか?撮影した写真の保存方に、「マルジェラ」らしい「痕跡」とか「記憶」的なキーワードを感じさせる機能が搭載されそうですね。あとは4本のステッチで止められたタグに描かれている番号、これは絶対なんらかの形で登場するでしょうね(笑)。時計かな?
余談ですが、「ルイ・ヴィトン」のスマートウォッチは、メゾンが発行するシティガイドの行き先までナビってくれたり、搭乗する飛行機が離陸するゲートを教えてくれたり、なんて「旅」にまつわる機能があったんです。ただ何故かJALは対象外だったし、シティガイドどころか文字盤の着せ替え機能さえうまくできない時があったけれど、愛らしかった(笑)。エモいと、ちょっとした不便さえ愛おしくなるという心理を、テックの世界の人にうまく表現してほしいな。
次回は、ファッション&ビューティのD2Cビジネスの現在地について考えます。