ファッション

展示は多くの人に向けたコミュニケーション 秋に東京を彩ったアート&デザイン

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 今年の秋は、ファッションブランドの展示でユニークなものが目立った。ジュエリーと名作椅子、カシミヤとランプなど、一見、相いれないと思われるもの同士のコラボレーションは新鮮で、お互いの異なる魅力を引き立て合う。ラグジュアリー・ブランドのギャラリースペースでは、漫画のキャラクターを通して現代的な課題を表現したり、日本にルーツを持つ2人のアーティストが“訪問者”の視点から作品を発表したりと、アートと今日的なテーマを融合させた展示もあり、見る者に新たな気付きや発見をもたらしている。このようなファッションやラグジュアリー・ブランドの文化的な取り組みは、より幅広い消費者へのコミュニケーション手段だと思われる。

「プラダ」 キャラクターのアイデンティティーを探す旅をユーモラスに表現

 プラダ(PRADA)財団が後援するアーティスト、サイモン・フジワラ(Simon Fujiwara)のエキシビションでは、オリジナルのキャラクターである“フー(Who)”の成長の物語が描かれていた。フーは、人格や性格、アイデンティティー、ジェンダー、セクシュアリティーも確立されていない存在で、自分が何者なのかを探り続けている。一見、陽気で楽しげな映像や絵画なども、それらに込められたテーマを読んでから鑑賞すると、孤独や同調圧力、LGBTQなどの現代的な課題が浮かび上がり、色分けされた会場のカラフルなカーペットさえも“映え”を意識しているように思えてきた。多くのメタファーを含んだ作品群である。2023年1月30日まで開催中。

「ポメラート」 家具とジュエリーの共演で表現するミラネーゼデザイン

 今秋のデザインイベントで最も圧倒されたのが、イタリア・ミラノのジュエラー「ポメラート(POMELLATO)」のエキシビションだ。高級ホテルのレセプションのようなエントランスで受付を済ませ、会場に足を踏み入れると「ポメラート」の世界へと没入させられる。会場内は3つのエリアに分かれていたが、特に印象深かったのが、最初の“クリエイティブデザイン”だ。“ミラネーゼデザイン”という共通点を持つ「ポメラート」のシグニチャーのジュエリーとイタリアを代表する名作家具を展示。イタリア人の建築家ジオ・ポンティ(Gio Ponti)の超軽量の椅子“スーパーレジェーラ”やアレッサンドロ・メンディーニ(Alessandro Mendini)のバロック調の椅子“マジス プルースト”、ギリシャ人デザイナーのマイケル・アナスタシアデス(Michael Anastassiades)のパーツをリンクさせた照明“アレンジメンツ”とジュエリーの展示は、斬新で、家具とジュエリーのクラフツマンシップやデザインが呼応する展示になった。

「ファルコネーリ」×「フロス」 異業種2ブランドによるイタリアのDNAの共演

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