イタリア発スパークリングワインのフランチャコルタ(FRANCIACORTA)は11月14日、3年ぶりに、「アンダーズ東京(ANDAZ TOKYO)」でイベントを開催した。“フランチャコルタ”とは、イタリアのコモ湖とガルダ湖の間の地域で生産される発泡ワインのこと。フランチャコルタ協会は、それら生産者による認知度アップ・販売促進目的の協会だ。同イベントを機に来日した、フランチャコルタ協会マウリツィオ・ザネッラ(Maurizio Zanella)=フランチャコルタ協会副会長兼「カ・デル・ボスコ(CA’ DEL BOSCO)」会長へ話を聞いた。
WWD:今回の来日の目的は?
マウリツィオ・ザネッラ=フランチャコルタ協会副会長兼「カ・デル・ボスコ」会長:以下、ザネッラ):日本におけるフランチャコルタのさらなる発展のために開催されるイベントに参加するためだ。
WWD:イベント開催の目的は?
ザネッラ:3年ぶりのリアルイベント開催だ。日本では、フランチャコタは約35年前から販促をしているが、協会では10年前に販促をスタートした。日本市場における、さらなるフランチャコルタの認知度アップが目的だ。
WWD:フランチャコルタの定義は?
ザネッラ:イタリア語で男性形の“イル・フランチャコルタ”はワインのこと、女性形の“ラ・フランチャコルタ”は、イタリアの地域のことを指す。コモ湖とガルダ湖の間の地域が“フランチャコルタ”でそこで生産されたブドウから作られる発泡酒がフランチャコルタだ。
WWD:シャンパーニュとの違いは?
ザネッラ:まず、ブドウの産地が異なる。使用するブドウの種類は似ていて、製法も瓶内の二次発酵で同じ。だが、ブドウが育つ緯度が、フランチャコルタとシャンパーニュでは違う。フランチャコルタは、シャンパーニュが製造されるランスよりもずっと南に位置している。だから、ブドウのポリフェノールをはじめとするフェノール類が成熟しており、よりボディーがありふくよかなワインができるし、シャンパーニュよりもシャープな味わいも期待できる。
WWD :フランチャコルタ協会の会員になるためにするべきことは?
ザネッラ:フランチャコルタという地域の名称は、行政のものではなく、明確な定義はない。その地域内でブドウを栽培する畑を持ち、ワイナリーがあることを申請すること。フランチャコルタという地域自体がシャンパーニュのランスの11分の1と小さい。当然、フランチャコルタの希少性はシャンパーニュより高い。生産量のほとんどが、イタリア国内で消費されるので、国外へ輸出できるのは15%以下と少ない。
WWD:現在、フランチャコルタの生産社数は?
ザネッラ:121社だ。日本に輸入されているのは約40社。今回のイベントには32社が参加している。
WWD:フランチャコルタのトップ市場は?
ザネッラ:1位は本国のイタリア。2位はスイス。イタリアに近いということもあり、フランチャコルタはよく知られており、シャンパーニュの代わりに飲まれる。イタリア国内でほぼ消費され、輸出量ナンバーワンはスイス、2位がアメリカ、3位が日本だ。日本市場でワイン消費量が少なかった約40年前にシャンパーニュと同時に販売され始めた。“食”と“酒”への要求が高い市場だから支持されているのだと思う。
WWD:今後の戦略は?
ザネッラ:フランチャコルタの品質をさらに高めること。そして、高いポジショニングをキープすることだ。ワイン作りは伝統、そして経験が大切。ワイン作りのための醸造所は買えるが、伝統は買えない。もともと、イタリアにおけるワインの製造は自家需要のためだった。瓶詰めされて販売されるようになったのは最近のことなんだ。
WWD:フランチャコルタとスプマンテやプロセッコの違いは?
ザネッラ:スプマンテはイタリアにおける発泡ワインの総称だが、フランチャコルタはそれには入らない。プロセッコは、ベローナ以外のベネト州などで広い産地で生産され、タンク内で2次発酵を行う発泡酒だ。
WWD:フランチャコルタにおけるサステナビリティの取り組みは?
ザネッラ:現在、畑の62%で有機栽培されている。二酸化炭素排出量の減少をフランチャコルタ協会主導で行っているが、特に目標は定めていない。プラスチックの使用に関しても、より持続可能なパッケージへの変更などについて各社が取り組んでいる。