「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」は、センシュアルでジェンダーフルイドなスタイルを得意とする若手デザイナーのルドヴィック・デ・サン・サーナン(Ludovic de Saint Sernin)を新クリエイティブ・ディレクターに起用した。2023年3月の23-24年秋冬パリ・ファッション・ウイーク(パリコレ)で、デビューコレクションを披露する予定だ。
ベルギー・ブリュッセルで生まれ、フランス・パリで育ったデ・サン・サーナンは、デュペレ応用美術学校(l’ESAA Duperre)を卒業後、「バルマン(BALMAIN)」などでキャリアを積んだ。その後、17年に自身の名を冠したブランドを設立。18年には「LVMHプライズ」のファイナリストにも選出された。持ち味は、編み上げディテールを施したブリーフやパンツ、シアー素材やカットアウトを駆使したアイテムなど、官能的でジェンダーの枠にとらわれないクリエイション。パリ・メンズ・ファッション・ウイークやパリコレでコレクション発表を続けている。
就任に際し、デ・サン・サーナンは自身がモデルを務めた6枚のイメージを公開。写真家のウィリー・ヴァンデルペール(Willy Vanderperre)が撮影し、スタイリストのオリヴィエ・リッツォ(Olivier RIzzo)がスタイリングを手掛けた写真は、同ブランドのアーカイブをデ・サン・サーナンの新たな解釈で見せることにより、「官能性」「緊張感」「シルエット」「流動性」「ワイルドさ」「グラフィカルな感覚」という今後の方向性を示している。
「アン ドゥムルメステール」は1985年、アントワープ王立芸術アカデミー卒業生のアン・ドゥムルメステールがパートナーのパトリック・ロビン(Patrick Robyn)と共に設立した。2013年にはドゥムルメステールがデザイナーを辞任。セバスチャン・ムニエ(Sebastien Meunier)が後継を務めていたが20年7月に退任し、ブランドは売却を模索していた。同年9月には、イタリア・ミラノのセレクトショップ、アントニオーリ(ANTONIOLI)創業者のクラウディオ・アントニオーリ(Claudio Antonioli)が同ブランドを買収。以来、デザインチーム体制で創業者時代をほうふつとさせるコレクションを手掛けてきた。