「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のデムナ(Demna)=アーティスティック・ディレクターは12月2日、児童虐待に当たるとして批判を受けて取り下げたホリデーキャンペーンについて、自身の公式インスタグラムで謝罪した。また、セドリック・シャルビ(Cedric Charbit)社長兼最高経営責任者(CEO)もブランドの公式インスタグラムに再発防止策などを含む謝罪文を投稿した。
デムナ=アーティスティック・ディレクターは、「子どもを起用したキャンペーンで、間違ったコンセプトを選択したことを個人的に謝罪し、責任を受け止める。子どもに関係のないものを持たせたのは不適切だった」と謝罪。「ときに作品を通じて人々を挑発したいと思っていることは事実だが、児童虐待という嫌悪すべき酷いことをその手段として使おうと考えることは絶対にない。私は本件から学び、児童保護団体などと連携し、どのように支援できるかに耳を傾けていく。本件のビジュアルで不快な思いをした方々に謝罪すると同時に、『バレンシアガ』は再発防止策を講じるだけでなく、児童福祉を守るために尽力して説明責任を果たすことを保証する」と投稿した。
シャルビ社長兼CEOは、コンテンツの承認プロセス改善などを含む新たな工程管理、イメージ部門の再編、児童保護に関する講習の実施などの再発防止策や、児童保護団体に寄付することを発表。また、撮影用セットの制作会社とデザイナーに対する訴訟を取り下げたことも明らかにした。
問題となった「バレンシアガ」のホリデーキャンペーンには、首輪や手首の拘束具といったボンデージギアを着けたテディベア型のハンドバッグを持った幼児が写されていた。バッグは「バレンシアガ」の2023年春夏コレクションで登場したアイテムで、ショーでは成人したモデルが手にしていたもの。しかし、同キャンペーンでは幼児が持っていたこと、また別のバッグのビジュアルではセットの一部に児童ポルノに関する裁判資料が使われていたことから、児童の性的消費や虐待を促しているとしてSNS上などで物議を醸していた。
「バレンシアガ」は同キャンペーンを11月23日の時点で取り下げて謝罪し、30日には撮影用セットの制作会社とデザイナーなどを相手に2500万ドル(約33億5000万円)以上の損害賠償を求めて提訴。しかし、「責任を他者に押し付けている」としてインターネット上でさらに批判を集め、ティックトック(TikTok)などで「バレンシアガ」の製品を破壊したり、ボイコットを呼びかけたりする動画が広まっていた。
なお、デムナ=アーティスティック・ディレクターは、英国ファッション協会(The British Fashion Council以下、BFC)が主催する「ザ ファッション アワード(The Fashion Awards)2022」で、主要な賞の一つである「デザイナー・オブ・ザ・イヤー(Designer of the Year)」にノミネートされていた。しかし、BFCによれば「『バレンシアガ』が参加しないことを決定した」ため、同氏をノミネートリストから除外したという。