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2022年の国内CBD製品市場規模は259億円見込み 4社に聞く課題と今後のトレンドを予測

 いま、CBD市場が盛り上がりを見せている。矢野経済研究所によると、2021年の国内CBD製品市場規模は小売金額ベースで前年比85.9%増の185億4100万円と伸長しており、22年は前年比39.9%増の259億3600万円を見込む。今回、CBDアイテムの取り扱いが豊富なセレクトショップのビープル(BIOPLE)と同ショップが今秋開催した展示会、ビープルフェスに出店したメーカー3社に、業界が抱える課題や今後のトレンド、人気製品の傾向を聞いた。

【10月の売り上げランキング / ビープル編】

1位 「エリクシノ―ル(ELIXINOL)」“エリクシノール ロールオン 450”(8mL、税込4290円)
2位 「エンドカ(ENDOCA)」“ミニ・ヘンプボディバター 450mg CBD”(30g、税込5500円)
3位 「エンドカ」“Hemp Oil Drops 300mg CBD(3%)”(10mL、税込4860円)

 ビープルでCBDの人気製品の傾向について浜津奈央ビープルMDディレクターは、「ロールオンやヘンプバターは、肩こり・頭痛や腰痛など、痛みへのアプローチを期待して購入する顧客が多く、満足しリピートされる場合が多い。飲用のドロップタイプは、焦る気持ちやイライラした気持ちの鎮静などを期待しての使用が目立つ」と話す。ビープルフェスでの反響も非常に高かった「リンウェル(RINWELL)」は、10月末に発売したチョコレートの新フレーバー3種の滑り出しが好調だった。

 ビープルフェスに出展し、ビープルでも取り扱いのあるCBDブランド「シービーデイズモーメント(CBDAYS MOMENT)」は、今秋、デリケートゾーンケアアイテムとして“CBDインティメイトオイル ROSY TREAT”(30mL、税込7150円)と“CBDインティメイトミスト ROSY TREAT”(50mL、税込5500円)を発売した。同ブランドを展開するクオルスの河野智史ディレクターは、「国内でもフェムテックのマーケットが伸長しており、その中でもデリケートゾーンケアへの関心の高まりに着目した」と話す。

 人の体内には、エンドカンナビノイドシステム(ECS)と呼ばれる調節機能が備わっており、疼痛、炎症の緩和、不安やストレスの軽減、吐き気の軽減など多くのPMSの症状に関わっているという。「一般的に、女性に最も多く出現するPMS症状は疼痛と言われていて、頭痛、胃痛、下腹部痛、乳房痛、腰痛など子宮から遠い部位に生じるケースもある。CBDは、このような症状にアプローチし、ホルモンバランスの調整やリラックス効果が期待できる。多くの女性が悩む、生理痛やPMSをケアし、CBDとフェムケアをかけ合わせた新分野に貢献していきたい」。

 アメリカのコロラドで創業したグローバルブランド「エリクシノール(ELIXINOL)」は、香りアイテムとして“ボタニカルCBDフレグランスNAKED/BALANCE”(8mL、税込4290円)を発売した。那奈なつみ「エリクシノール」プレスは、「忙しないライフスタイルを送る現代人は、SNSなどからもたらされる情報を⽬や⽿でキャッチし、視覚や聴覚が休まらない状況だ。そこで、嗅覚に着⽬し、⼀瞬で気分を変化させるような製品を目指した」と開発経緯を話す。

 日本生まれのCBDコスメブランド「ヌメロトレンタトレ(NUMERO33)」は、CBD成分を配合した入浴剤“CBDバスソーク calm purple”(税込1万2430円)を販売している。同ブランドを擁するダダの篠崎大輔代表取締役は、「同製品は、6年ほど前に(自分が)不眠症で悩んでいた時にCBDと出合い、開発した。当時、CBDを使って睡眠の質が改善された体験から、CBDを広めなければならないと使命感を持った。現代社会において、どのような立場の人もストレスと無縁ではいられない。バスソークを選んだ理由は、CBDをルーティーンとして取り入れていただきたいから。バスアイテムなら誰もが簡単に取り入れられ、入浴文化のある日本人にとっても習慣化しやすいと思った」と話す。

「CBD=大麻=麻薬=悪」の誤った理解を是正

ーーーCBD業界における「課題」は?

浜津ビープルMDディレクター:大麻草から抽出されている成分で、国内では「CBD=大麻=麻薬=悪」という誤った理解をしている人が多い。多くの人が混同しているのは、麻の葉や花、根に含まれるTHC(テトラヒドロカンナビノール)という違法成分で、国内での流通は禁止されている。ビープルでは、THCが含まれていないということを第三者機関で二度チェックを行っており、安心・安全なCBD原料を使用しているとともに、精神作用がないカンナビノイドの代表格であるCBDをよりクリーンに、ヘルシーな成分であるということを伝えていきたい。

那奈「エリクシノール」プレス:CBDと書けば売れるという、知識やノウハウがない企業や個人がSNSやECサイトで販売していることは見受けられる。購入するのは、知識のあるスタッフがいる店舗での購入をおすすめする。市場調査として多くの製品を試すが、中には調子が悪くなった製品もある。良い製品もあればそうでない製品もあると感じる。

篠崎ダダ代表取締役:年齢が上がるほど大麻だと勘違いしている人が多い印象だが、われわれは50代以上の生活者にも広めていきたい。CBDは安全で現代社会の救世主になりうると考えており、正しい知識の発信をブログやSNSで地道に続けていく。

ーーー今後の「CBD」アイテムのトレンド予想は?

浜津ビープルMDディレクター:「食べやすい」「おいしい」「試しやすい」価格の三拍子がそろっているアイテムがアップカミングだ。また、若年層を中心に認知が広がっている、煙を吸うベイプタイプを出すメーカーも見受けられ、ナチュラルCBDでもこのようなタイプが増えてくるのではないかと見ている。他に、CBDを気軽に試せるチョコレートやグミ、タブレットは引き続き人気が高く今後も売り上げが伸長するだろう。

那奈「エリクシノール」プレス:創薬企業との取り組みや、大学との研究など、今までの商品にプラスワンの考え方も取り入れた商品が安心、安全としてフューチャーされていく印象がある。2023年には法改正も予定されることを念頭に、ユーザーに求められるCBD製品作りを進めていきたい。

河野クオルス ディレクター:米国では18年度改正農業法によって産業用ヘンプが合法化されているだけでなく、全米36の州で医療用の使用が合法化され、そのうち16の州では医療用・娯楽用ともに認められている(21年6月時点)。日本国内でも、医療用大麻の解禁や、既存の大麻取締法の法案改正の動きが活発化しており、CBDをはじめとした文化の醸成が進んでいくものと予想している。

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