毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年12月5日号からの抜粋です)
林:原宿・表参道界隈を見ると、ラグジュアリーブランドとカジュアルで明暗がはっきりしています。界隈の駅で毎日200万〜300万人の乗降客がいる新宿や渋谷に比べ、原宿・表参道や青山は30万人程度。ショッピングやレストランなど、“目的があって来る街”だから、コロナ禍で原宿のカジュアルショップはモロに影響を受けたかたちですね。
村上:僕が一番印象的だったのは、「原宿で洋服は買わない」という学生たちの声。ラグジュアリーを買う場合は表参道、リアルクローズを求めるときはショップが密集する新宿や新大久保だそうです。原宿は“洋服好きなコミュニティーと出合う場所”らしい。こういう変化に対応するためか、明治通りと表参道の交差点に建設中のビルもプランが公表されないですね。
林:先日24年春に開業すると発表されましたが、コロナで工事自体が遅れているようですね。変化が大きいので、リーシングも簡単ではないでしょうね。
村上:コロナ禍では、ラグジュアリーブランドのポップアップもほとんどが予約制。予約の手間や時間の縛りがあっても来たいと思わせるコンテンツを用意しなければなりません。「何のために来てもらうのか」が作れないと厳しいですよね。
林:そうですね。そもそも原宿・表参道界隈は明治神宮のお膝元で、文教地区なのです。そのためホテルや映画館・劇場、キャバレー、パチンコ店などは出店できない。ファッションに特化した独特なカルチャーを生み出してきました。しかし、逆に言うとそれしかない。先の建設中のビルの囲いに原宿の歴史が張られていますが、2010年以降はオリジナリティーのある発信に欠けてしまっているのが見て取れました。
村上:デベロッパーはそこに危機感を持っていて、もっと雑多な感じを出したいようですね。
林:家賃が高すぎて、資本力のあるブランドしか出店できないのが現状です。大手デベロッパーが若手やクリエイターを優遇してインキュベートしていかないといけないですね。
村上:ユナイテッドアローズ本店のそばにあるフィギュアの店がすごく売ると聞きました。やはり“目的”ですよね。