I-ne(アイエヌイー)が展開するミニマル美容家電ブランド「サロニア(SALONIA)」は、「BEAUTY is SIMPLE」をコンセプトに、年齢・性別を問わず使いやすいシンプルかつミニマル設計のもの作りを追求し続けている。ブランド誕生から10年、ヘアアイロンは機能を厳選してリーズナブルな価格帯を実現し、シェアNo.1※の地位を確立。その知名度は人気美容師・内田聡一郎「レコ」代表の耳にまで届くほどだ。I-neで「サロニア」を運営する廣瀬裕一マーケティング本部 ブランドマネジメント部 SALONIAブランドマネージャーと阿久津恵美子ブランディング本部 ブランディング戦略部 SALONIAブランドディレクターが内田代表を訪れ、「サロニア」が目指すビジョンや市場トレンド、SNSに出回るネガティブなうわさの真偽、プロ目線で教える正しい使い方まで語り合った。
タイムレスなデザインや
コンセプトが時代にフィット
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WWD:内田さんは「サロニア」にどのようなイメージを持っていた?
内田聡一郎「レコ」代表(以下、内田):SNSや家電量販店でよく見かけていて、“スーパーベーシック”なブランドだと思っていました。ミニマルでスタイリッシュなデザインとシンプルな機能かつリーズナブルな価格設定で、一般の消費者が使いやすそうだなと。美容家電は複数機能を搭載した高価格帯機種が増えていますが、お客さまにヒアリングすると「複雑な機能は使いこなせない」という声も聞きます。
廣瀬裕一I-neマーケティング本部 ブランドマネジメント部SALONIAブランドマネージャー(以下、廣瀬):「サロニア」のブランドミッションは「全ての人が、美容を通して自分らしくポジティブに生きる社会を目指す」こと。これをかなえるため、手に届きやすい価格帯と期待を上回るパフォーマンスを意識した商品を提案しています。ヘアアイロンは発売した2012年当時、価格相場は7000〜8000円が主流でしたが、若い人や学生などヘアアイロンの購入を検討している全ての人が手に取りやすいよう機能を厳選し抑えられるコストは全てカットして3000円台を実現しました。
阿久津恵美子I-neブランディング本部 ブランディング戦略部 SALONIAブランドディレクター(以下、阿久津):内田さんが感じてくださったように、「サロニア」は“美しさ=シンプル”という思想の下、商品開発やコミュニケーションを行っています。手に取りやすく、ハイパフォーマンス。シンプルなデザインと機能で毎日使い続けられる設計にこだわりました。美容って複雑に考えがちですが、本当はシンプルな方が取り入れやすいし続けやすいんですよね。
内田:なるほど。「シンプルだからこそ長く使い続けられる」という発想は、今の時代にフィットしていると思います。「レコ」の内装も「ミニマム」をコンセプトに、シンプルさを追求しているので通じるところがありますね。
必要な機能を厳選し
3000円台を実現
WWD:内田さんから見た「サロニア」の強みはどんなところ?
内田:まずは価格。リーズナブルであることが一番の強みだと思います。美容師目線では、ドライヤーやヘアアイロンはサロンワーク中に使う時間が長いので、調子が悪くなることも多く消耗品という感覚もあります。買い替えや修理にはコストがかなりかかるので、「サロニア」のようなリーズナブルなものがあると助かりますよね。
WWD:機能面はプロから見てどうか。
内田:ドライヤーであれば髪の毛を乾かす、ヘアアイロンであれば面をきれいに整える。この最低限の機能があれば全く問題ありません。「サロニア」は、ドライヤーは風量がしっかりあって高額品に負けずパワフルだし、ヘアアイロンはプレートの細さや厚みが絶妙で温度が上がるまでのスピードも早い。欲を言えば、サロンで使うとしたらコードの長さはたっぷりと2mぐらいは欲しいかな。
廣瀬:家庭用として使うことを想定しているため、家庭で使いやすい現状の長さにたどり着きました。その結果、必要なコードも短くなり、その部分も価格に反映されています。
内田:だからやや短めなんですね。世間の感覚では、「安すぎても怖い」「安いものはすぐに壊れる」っていうイメージがあるじゃないですか。そういった努力があってこその安さという裏側を知ることができると信頼感につながりますよね。
ネガティブな情報ほど拡散されやすい
「サロニア」の良さを体感してほしい
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WWD:安くて不安を感じてしまうという点では、現在SNS上で「サロニア」のヘアアイロンは設定温度よりプラス30℃も高温になるという情報が広がっている。
廣瀬:実際のところ、そのような事実はありません。工場出荷前に全数温度測定を行い、徹底した品質管理で基準を満たしたものを販売しています。加えて、第三者機関に依頼し出荷後の商品の抜き打ち検査を行い、設定温度と実際のプレート温度に大きなずれがないことを確認しています。
内田:SNSで話題になっているということですが、過去に消費者から温度に関するクレームはあったんですか?
廣瀬:商品の不具合によるお問い合わせをいただいた際は商品を回収して検証するのですが、「設定より30℃高い温度になる」という事例は1件もないんです。一方で、工場出荷時の温度測定の情報はこれまで積極的に伝えてこなかったので、今後はお客さまにより安心してご使用いただくためにそうした発信が必要だと思っています。
内田:消費者は「損をしたくない」という思いから、ついついネガティブな情報に注目してしまいがちですよね。事実でないなら、良い商品と再認識してもらうコミュニケーションをすべき。消費者はごく少数のネガティブな意見に惑わされず、実際に手に取って確かめてみると良いですよね。
ヘアアイロンの適温の見つけ方は
美容師からのアドバイスが近道
WWD:消費者に「サロニア」のヘアアイロンをより上手に使ってもらうためのコツは?
内田:どういう状態の髪の毛に当てるかが一番重要。やりがちなのは、きちんと乾かしていない水分量の多い髪の毛に高温のアイロンを当ててしまうこと。湯気がたくさん出てしまう状況はとても危険です。8割程度乾かしてからアイロンを使うのが大事です。さらに熱ダメージから髪の毛を守るトリートメントをつけてからアイロンを使うのも大切。実は高温にせず低めの適度な温度設定でもカールは意外と作れるし、ストレートに整えられるんです。
阿久津:「サロニア」のストレートアイロンの場合120〜230℃まで温度調節できますが、おすすめはありますか?
内田:毛髪の太さやキューティクルの厚み、ダメージの度合いなどによって適切な温度は個人差があります。バージン毛で剛毛だったら高温でもダメージは気にならないけど、ハイトーンで軟毛だとかなりのダメージになる。自分が通っている美容室で聞いてみるとアドバイスをもらえると思います。常に高温でスタイリングしている人もいると思いますが、美容師が230℃の高温設定を使うことはほとんどありません。120℃だと弱く感じるかもしれませんが、少しずつ温度を上げて自分に合った温度を見つけるのもいいかもしれませんね。
WWD:10周年を迎えた「サロニア」の今後の展望は?
廣瀬:ヘアアイロンユーザーの裾野を広げることを重視し、多くの人にご購入いただいたことで10周年を迎えることができました。今後も裾野を広げたい思いは変わりません。その上で、これからは「トライしてもらうこと」に加えて「正しく使ってもらうこと」や「使い方の幅を広げてもらうこと」にも注力してヘアアイロン市場を盛り上げていきたいです。
阿久津:これまで製造時のこだわりやスペックの詳細を伝えきれていなかったので、今後は納得感や安心感を持っていただけるよう積極的に情報を発信していきたいと思います。また、お客さまにとって有益な情報を伝えるにはプロの協力が不可欠だと感じています。「サロニア」のヘアアイロンを上手に使う方法やヘアアレンジのワンポイントアドバイスなど、一緒に提案できたらうれしいです。
内田:1つ提案ですが、「サロニア」にも“プロフェッショナル向け”ラインがあっても良いのでは。美容師が使うプロユース市場でも高機能、高価格商品が盛り上がっていますが、実はパイが大きいのは安くて長く使えるシンプルなものだと思います。今はドライヤー、ヘアアイロンの戦国時代とも言えますが、手頃なプロ向け商品は思い浮かびません。良いものがあれば僕もぜひ使ってみたいです。
廣瀬:ありがとうございます。「サロニア」の良さが生かせるようでしたら、ぜひプロ向けも検討してみたいですね。
TEXT:NATSUMI YONEYAMA
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