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連載 見果てぬ街づくり

街づくりは「四方よし」の精神で 見果てぬ街づくりvol.12

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 コロナ禍の長期化はテナントとデベロッパーの関係にも暗い影を落とした。だが、こんな時だからこそ、お客さまの満足という原点に立ち返ることを提唱したい。(この記事はWWDジャパン2022年12月5日号からの抜粋です)

 建物は利用されてなんぼである。多くの人が集い、楽しんでくれることが本望。住民がいなくなった家は、あっという間に荒れてしまう。つまりいじける。最近流行の古民家カフェなどは、古い建物に新しい息吹を与える取り組みとして興味深い。地方都市に行くと、かつて銀行だったような古いレンガ造りの建物が残っている。保存対象になっていて、見学だけ可能になっていたり、行政の所有だと地元の生産者の展示スペースになっていたりする。こういった建物をもっと積極的に生かせればよいと思う。

 アメリカではテナントの多くが撤退したデッドモールが珍しくない。ひどいところは廃虚のようになっている。日本でも地方の商店街のシャッター通りをよく見かける。私のような仕事をしてきた人間にとっては悪夢そのものである。

原状回復の工事費で会社が潰れる!?

 コロナ禍でアパレルや飲食などのお店が多く閉じられた。新規出店には内装などに初期費用がかかり、開店すればスタッフ確保や家賃などのやりくりに苦心し、それでも収益が確保できなければ、泣く泣く退店になる。契約期間の途中だったりすると、デベロッパーは違約金を要求するだけでなく、膨大な原状回復費まで提示してくるのだから、テナントとしてはたまったものではない。

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