REPORT
ガリアーノの遊び心が垣間見えるエキセントリックなミリタリー
今季のショーノートの冒頭には、「非伝統的なアプローチ」や「一つのシルエットの中にある異なる世界は、新たな欲望を意味する」という言葉が書かれている。その言葉通り、ジョン・ガリアーノはミリタリーウエアをベースに、異なる時代やテイストを自由に組み合わせて、エキセントリックな女性像を描いた。
ファーストルックは、キャメルのトレンチコート。胸元にはオリジナルのアニメキャラクターのプリント地を重ね、手はすっぽりとローゲージニットのアームウォーマーで覆われている。ウエストをマークするのは、巨大なロココ調のバックルの付いたベルト。ウエストをマークする巨大なロココ調のバックルの付いたベルトは、後ろ前で用いて、ルックに違和感を加える。それに続く2ルック目は、3種の編み地をつなぎ合わせたニットのロングドレスと、ミリタリージャケットを再構築したようなベストのコーディネート。その間に挟んだメタリックグリーンのエプロン風のトップスはラッフルを配した肩の部分がずり落ち、二の腕にフェミニンな装飾を加えている。デフォルメされたウエスタン調のベルトが女性らしいくびれを強調する。アイテムの再構築やデフォルメはメゾンを象徴するアプローチだが、どこか違和感の覚えるレイヤードがガリアーノらしいエキセントリックさにつながっている。
コレクションにアクセントを加えるのは、樹脂で作った抽象的な形状の大振りなアクセサリー。特にブローチ使いが秀逸だ。襟や袖を飾るだけでなく、いくつかを組み合わせてウエアの背中や胸元にシュールな顔のモチーフを描く。それは、さながらポップアート。そんな遊び心から、3シーズン目にして少し肩の力が抜け、クリエイションを楽しんでいるガリアーノの姿を想像する。