ロンハーマン(RON HERMAN、以下RH)の2023年春夏ウィメンズは、キウイグリーンやテラコッタなど気持ちが上がるトロピカルなカラーパレットの組み合わせと、ラメやスパンコールなどの華やかでデザインの力を感じさせるアイテムを打ち出す。篠崎茜バイヤーは、「今季はファッションのパワーをダイレクトに感じてほしい。パワーのある服を身にまとい、夢を実現させて欲しいというメッセージも込めた」と話す。買い付けでは、日本のモノづくりに焦点を当てた。
篠崎バイヤーは「モードであると同時に背景にあるメッセージ性や力の抜けた雰囲気が、RHらしいデザインの力の解釈だ」と説明する。例えば、「RHヴィンテージ(RH VINTAGE)」のスパンコールのスカートは、海の水面に反射する太陽の光を表現している。身にまとうことで自然の力を感じてもらう。「RHカリフォルニア(RH CALIFORNIA)」のロングワンピースは、“LOVE&PEACE”という直接的なキーワードを抽象的なグラフィックに組み替えることで、着ている本人には感じられるメッセージを忍ばせている。
透け感もキーワードに、「セシル バンセン(CECILIE BAHNSEN)」のドレスや「ラドロー(LUDLOW)」のチュールブラウスを買い付けたほか、手編みニットを得意とする日本の「ピリングス(PILLINGS)」を新規導入した。「エクストリーム カシミア(EXTREME CASHMERE)」は今季からコットンカシミヤを採用し表現の幅を広げた。なかでもメッシュのサマーニットはトレンドアイテムとしても打ち出す。
定番のデニムアイテムでも、遊び心のあるデザインを重視した。新規で取り扱う「リヴィントーン(LIVINGTONE)」には、サスペンダー付きのハイウエストワイドパンツにライトグレーで別注した。サスペンダー部分はリボンのように結んだり、ホルターネックのように結んだりしてアレンジを楽しんでもらう。同じく新規導入したデニムブランド「クーキー ズー(KOOKYZOO)」は、「リー(LEE)」のメンズデザイナーとして経験を詰んだ鈴木裕輔デザイナーが手掛け、子ども服を大人サイズに拡大したようなユニークなデザインが特徴だ。これまでメンズのみを展開していたが、今季からロンハーマン限定でウィメンズアイテムを取り扱う。
アイテム軸ではシャツやブラウスを強化する。「カナコ サカイ(KANAKO SAKAI)」には、キーカラーのキウイグリーンと、ブルーとミントのマーブルカラーを用いたシャツを別注した。そのほか、ブローチやストール、ベルトなどの小物のバリエーションも強化した。
注目ブランドは、ロンハーマン限定で取り扱うイギリス発の「ヘーラー ヴィンテージ(HERE VINTAGE)」とフランス発の「メモリ(MEMORI)」。いずれもビンテージのキルトやパーツを活用したほぼ1点モノのウエアを制作する。地域の伝統技術や文化を大切にし、無駄のないスローファッションを提案するブランドだ。2月の立ち上がり時期には、ポップアップイベントを開催予定だ。
篠崎バイヤーは、「今季は特に国内外のトップブランドで経験を積んだ人による日本発のブランドも多く、期待している」と話し、ドゥロワー(DRAWER)などで経験を積んだデザイナーの靭江千草(うつぼえ・ちぐさ)が手がける「バウト(BOWTE)」や「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」出身の山谷政、佐々木幹子、田島香織の3人が手掛ける「エムティーモデリスト(MTMODELIST)」、リカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)率いる「ジバンシィ(GIVENCHY)」「バーバリー(BURBERRY)」で経験を積んだ長谷川照洋とウィング・ライによる「ガーウィン(GURTWEIN)」なども新規導入した。