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19年以降、国内に3工場新設の資生堂 「サプライネットワークがビジネスをけん引すべき」

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 化粧・日用品の新工場建設、国内生産拠点強化が相次いでいる。背景には、2015年以降のインバウンド市場の急拡大がある。中でも目立ったのは中国人旅行者の化粧品購買意欲で、観光庁が発表した「訪日外国人の消費動向」によると、15年に日本を訪れた中国人の73.8%が化粧品・香水を購入し、平均購入額は4万7191円に及んだ。加えて、SNSが普及し“バズる”ことで商品が欠品を起こす現象が頻発。複雑化する需要に対応できる柔軟な生産態勢が求められるようになった。こうした状況を受け、各社は次々に生産拠点強化に動いた。(この記事は「WWDJAPAN」11月28日号付録「WWDBEAUTY」から抜粋したものです)

変革の中心は働く人のマインドセット

 資生堂は、“メードバイジャパン”商品の長期安定的な供給基盤構築を目的に19年に栃木・那須工場、20年に大阪・茨木工場、22年に福岡・久留米工場を建設。現在、国内に6工場を有する。アントニオ・スピリオトポロス(Antonios Spiliopoulos)=チーフサプライネットワークオフィサーは「17~18年に生産キャパシティーが足りなくなり欠品の問題が起きて、国内3工場への投資が決まった。もちろん海外工場にも投資し設備拡充を図ったが、日本産の化粧品へのニーズがグローバルで高まっていたことや、R&D拠点やブランドホルダーとの距離が近いことも国内拠点のメリットだった。重視したのは『SHISEIDO』『クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)』『エリクシール(ELIXIR)』『アネッサ(ANESSA)』など日本発ブランドのグローバルな成長のサポート、そして“メードバイジャパン”つまり日本産の製品の品質や価値を世界に発信すること」と話す。

 そのビジョン実現のためITの基盤を整えてコストと在庫の最適化、オペレーションの進化に取り組んだ。「最も重要なのは企業の競争力となる人財で、変革の中心は働く人のマインドセットだ。これまでサプライネットワークはバックオフィス的な役割だったが、これからはサプライネットワーク自体がビジネスをけん引し、パートナー企業をリードしなければならない」。

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