化粧・日用品の新工場建設、国内生産拠点強化が相次いでいる。背景には、2015年以降のインバウンド市場の急拡大がある。中でも目立ったのは中国人旅行者の化粧品購買意欲で、観光庁が発表した「訪日外国人の消費動向」によると、15年に日本を訪れた中国人の73.8%が化粧品・香水を購入し、平均購入額は4万7191円に及んだ。加えて、SNSが普及し“バズる”ことで商品が欠品を起こす現象が頻発。複雑化する需要に対応できる柔軟な生産態勢が求められるようになった。こうした状況を受け、各社は次々に生産拠点強化に動いた。(この記事は「WWDJAPAN」11月28日号付録「WWDBEAUTY」から抜粋し加筆したものです)
【みんなの工場】
内製化率、6割から9割に引き上げへ
DATA
稼働年月日:2023年上期予定
付帯施設開業日:23年5月予定
敷地面積:2万332㎡
年間生産数:960万個
シロは来年1月、創業の地である北海道砂川市に工場と付帯施設が一帯となる「みんなの工場」を竣工する。新工場建設には、地域の活性化と生産能力の向上、外注比率を下げ品質管理を徹底する狙いがある。
「シロ(SHIRO)」の製品は09年のブランド立ち上げから16年までほぼ100%自社生産で賄っていたが、売り上げ拡大に伴い外部委託比率が上がり、20年には過半数を占めるまでになった。「スキンケア製品は、材料を人の手で絞るなどオリジナリティーのある作り方をしているため内製する必要がある。一方、メイクアップなどはOEMメーカーに委託せざるを得ない製品もある。また売れ筋の“ボディミルク”などは製造難易度が高くなく生産量も必要なため外注している。ここ数年は、外注比率が上がるとともに品質管理が難しくなる問題が生じていた。例えばある製品では、自社で作った場合、ある期間の製品不良が0.0026%だったものが、外注すると不良率が2倍になった。そのため可能な限り内製できる態勢を整える必要があった。自社生産はトラブルが起きたときの問題解決も早い。例えば香水など液体に澱が発生しても自社生産であれば濾過する装置が外れていたとすぐに分かるが、外注では発覚までに1週間かかったこともあった。その間生産が止まるのは大きな機会ロスになる。内製化率を現状の6割から 新工場稼働初年度で8割、最終的に9割3分を目指す」と福永敬弘社長は話す。
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