米国発のアウトドアフットウエアブランド「キーン(KEEN)」は、10月1日付けで日本法人の新代表にヒルダ・チャン(Hilda Chan)を起用した。竹田尚志・前代表兼ジェネラルマネジャーは、米国本社ライフスタイル部門のジェネラルマネジャーに昇格する。
チャン新代表は、複数企業で食品やアパレル、シューズなどのブランドマネジメントを担ってきた人物だ。直近ではアシックスに8年以上所属し、スポーツシューズとアスレチックウエアの大中華圏マネジングディレクターとして同エリアの成長に貢献した。日本での生活経験もあり、日本語にも堪能だ。「日本に腰を据えて生活するのはひさしぶりだ。日本は以前からアウトドア文化が定着していたが、最近は女性バイカーによるソロキャンプや休日のカジュアルなフィッシングなど、アクティビティーが多様化している。ブランドが培ってきた技術力を駆使しつつ、新たなアクティビティーのニーズを踏まえて経営戦略を立てていきたい」と話す。
一方、前任の竹田氏は、米国本社の実質ナンバー2であるライフスタイル部門のジェネラルマネジャーに昇格する。同氏は2013年から日本法人代表として国内戦略の舵を取り、「フジロックフェスティバル(FUJI ROCK FESTIVAL)」をはじめとする音楽イベントへの出展や国内ファッションブランドとのコラボなど、アウトドア以外のカルチャーとの結びつきを強化し、市場拡大につなげてきた。「アウトドアとファッションを融合した日本独自のフェススタイルは、韓国などアジア諸国にも大きな影響を与えている。しかし欧米では、アウトドアは独立したカテゴリーとしての認識が強く、カルチャーを横断した提案が少ない。異業種との協業や新たなタッチポイントを生むイベント創出などにより、コンバージェンス(ファン参加型)で独自性の高いカルチャーを作っていきたい」と意気込む。
「キーン」は、シューズの修理サービスを行っていたローリー・ファースト(Rory Fuerst)が2003年にアメリカ・ポートランドで設立した。つま先を防護するサンダル“ニューポート(NEW PORT)”や2本の紐と1枚のソールで作った“ユニーク(UNEEK)”など、他にないデザインと機能性を持つシューズを販売するほか、自然災害の復興支援やホームレスの独立支援、環境にやさしいものづくりなど、社会貢献活動も企業の軸としている。