エストネーションが2023年春夏シーズンの展示会を行った。メンズのテーマは“オーセンティック”。トレンドを意識した昨シーズンの“ミックススタイル”から一転して、王道な装いを軸に、上質な素材感と気心地の良さ、洗練されたシルエットなど洋服本来の楽しみを打ち出す。テーマの背景には、「コロナによる行動制限が緩和され、人との出会いや社交の場が復活し、ワードローブを見直す顧客の動きがある」とプレス担当者は説明する。
一押しアイテムはオリジナルのスーツだ。ラペル幅が大きく、立体的な返しやドレープを重視した仕立てが特徴で、生地は英国の老舗生地メーカー「サヴィル クリフォード(SAVILE CLIFORD)」の打ち込みの強いウール素材を使い、銀座のテーラー、ファイブワンファクトリーが縫製する。
ほかにも、1782年に英国で生まれた「マーリン&エヴァンス(MARLING & EVANS)」のシルク、リネン、ウールの混紡素材を使ったジャケットなどもある。ジャケットで約11万円、スーツで約16万円の価格設定は強気に思えるが、「オケージョンの回復でスーツ需要も復活しており、見込みは大いにある」という。無地のほかにチョークストライプやグレンチェックなども用意し、カラーはグレーやネイビーをベースに、うっすらとグリーンを混ぜたものなど、ポイントで遊び心を加えた。
テーラリングアイテムに合わせるのは、素材にこだわった新規導入ブランドたち。カシミヤやアルパカなどを使ったニットブランド「アニオナ(AGNONA)」(カシミアニット約22万円)をはじめ、メイドインフランスにこだわってミニマルなシャツを作る「プラシーデ(PLACIDE)」(シャツ約1万7000〜3万円)、フランスで生まれ、現在はイタリアで生産するレザーシューズブランド「オーベルシー(AUBERCY)」などを提案する。