ファッション

福岡でミリタリー系インフルエンサーのパワーを知り、古着ビジネスの伸び代を感じる

 飛行機が好きです。でも、コロナ禍でとんと飛べていませんでした。このまま2022年も終わり……なんて嫌なので、エイヤッ!で向かったのは福岡。行きたい場所に行って会いたい人に会おうと決めていましたが、結果的に“古着、古着、古着、ときどきミリタリー”な偏った内容になってしまいました(笑)。

ミリタリーショップ「ワイパー」
世にも珍しい?ミリタリー系インフルエンサーに会いに

 まずお邪魔したのは、ミリタリーショップの「ワイパー」(福岡県福岡市中央区清川3-26-17)です。おじさんも今や“インスタライフ”は日常で、“おじさん好きを自認するおじさん”である僕は、彼らの着こなしばかり見ています。その中の1人が、ワイパー「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」店ショップマネジャーのL.L.Wood(エルエルウッド、@l.l.wood)さん。

 15年から自身のファッションをインスタグラムに投稿するようになり、ワイパーに入社した19年時のフォロワー数は2.5万。それが3年で10.5万と4倍以上に!相乗効果もあって、L.L.Woodさんが出演するワイパーの公式インスタグラムは8.7万のフォロワーを持ちます。さらに、ワイパーが19年に立ち上げた公式ユーチューブチャンネルの登録者数は3.6万。

 ファン獲得はビジネス面でもプラス要因なのでは?と聞くと、「おかげさまで」と回答。「実店舗にも動員できていますが、インスタグラムやユーチューブと親和性の高いECの売り上げアップにつながっています」と続けます。商品の多くは、東京を中心とする関東圏に出荷しているそう。

 ワイパーのオープンは00年で、12年に現在の場所に移転しました。品ぞろえは、1.デッドストックやユーズドなどの“実物” 2.レア物を忠実復刻するオリジナルブランドの「ワイパーインク(WAIPER INC)」 3.「アルファ インダストリーズ(ALPHA INDUSTRIES)」や「アヴィレックス(AVIREX)」などの仕入れを「ほぼ均等に」。お客さんのコア層は40〜60代男性で、「インスタグラムやユーチューブのおかげで、ウィークポイントだった20〜30代にもリーチできています」と言います。

 商業施設やセレクトショップからポップアップ開催を乞う声も上がっているそうで、また東京で会えることを楽しみにお別れしました。

古着店「トゥーフェイス」
“トゥルービンテージ”も垂涎だけど、オリジナルに片想い

 次に訪れたのは、古着店の「トゥーフェイス(TWOFACE)」(福岡県福岡市中央区大名1-11-15)。“スニーカー芸人”“刺しゅう芸人”として知られるグッドウォーキン上田さんが、同店のオリジナルブランド「スリーフェイス(THREEFACE)」のリメークスエットを着ていて、ずっと“いいなぁ〜”と憧れていたのです。

 念願かなって訪問してみると、「ごめんなさい、完売しちゃって」とオーナーの原田政和さん。ガビーン!……。聞けば、グラフィック製作からプリント(1点ずつ手刷り)まで「スリーフェイス」についての全てを原田さん1人で行い、さらに渡米してのビンテージ買い付けから店舗(福岡と熊本)の管理ととにかく忙しく、「間に合っていなくて……」と吐露。でも、ご安心を!来春に新商品(スエット1万7600円税込)を発売予定だそう。

 トゥーフェイスの1号店が熊本にできたのは13年のこと。2店舗目の福岡店のオープンは18年で、20年に現在の場所に移転しました。熊本店がいわゆる“トゥルービンテージ”中心なのに対して、「福岡店は『ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN)』や『リーバイス(LEVI'S)』のレギュラー古着など、ビギナーでも手が出しやすいアンダー1万円の商品も並びます」と原田さん。

 より“濃いめ”の熊本店にもいつか行ってみたいなぁ、なんて考えつつ次へ。

古着店「デザートスノー」
活気あふれる最新店舗を訪れ、社長に23年の展望を聞く

 古着熱に火が付いて3軒目は、古着店「デザートスノー」が福岡パルコ(本館6階、福岡県福岡市中央区天神2-11-1)にオープンした最新店舗へ。デザートスノーは昨今、ルミネエスト新宿やルクア大阪など商業施設への出店を加速させており、同店で九州進出を果たしました。週末であり、かつ通路に沿ったロケーションのため常に人が行き交い、レジ前には会計待ちのお客さん。中でも10〜20代の女性2人連れが目立ち、古着ブームを肌で感じました。

 同店で注目したのは、店長の後藤健太郎さん(20歳)。ハタチでの店長就任は、デザートスノーの最年少記録だとか。鈴木道雄社長は、「東京・下北沢で副店長も任せていましたが、福岡店オープンに際して、いの一番で店長に名乗りを上げた、その心意気に懸けてみたいと思いました」と話します。

 23年の展望も聞きました。「引き続き、商業施設を中心に5店舗ほどを出店したいです。関東エリアで検討しています」。路面店は?と聞くと、「下北沢では常に物件を探しています。同エリアで7店舗目となるので、ドミナントもひとまず完成する予定です」と回答。また、「商業施設での関係性や経験値を積んだ先には、日本ブランドの古着に特化した別業態『ミクモ』の商業施設への単独出店も考えています。実現すれば初となります」と教えてくれました。

“チーム下北沢”の合同ポップアップを陣中見舞い

 そうそう、下北沢の古着店「ノイル」や「シーツーシー」が、「イオット」福岡店(福岡県福岡市中央区大名1-15-19)で合同ポップアップイベントを開催していると聞いたので陣中見舞いに。同店は、下北沢や名古屋に店舗を持つイオットが今年11月にオープンした九州初出店店舗。こうやって東京チームと、地方で再会するのもうれしいものです。

 目抜き通りの路面店ということで、たくさんの来店客がいる中、シーツーシーの川田俊輔バイヤーとしばし立ち話。「僕らが選ぶ“攻めた”古着に対して、“こんな風にセレクトされた古着って福岡にはなかった!”との声をいただいています」とのことで、なるほど、飽和状態にも見える古着にも、まだセグメントやプレゼンの仕方で伸び代があるのね、と勉強になりました。

福岡ファッション旅を終えて

 “この店に行ってみたい!”と数年越しで(コロナ禍も乗り越えて)思うローカルショップがあり、やっぱり行って良かったという事後感がある。これって、きっと23年もファッションおよび地方を盛り上げるキーワードになるのでは?なんて思います。感染症対策に十分気を付けて、次はどこに行こうかな?あ、その前にマイルとお小遣いを貯めないと……。

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