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「H&M」が2件のグリーンウォッシング訴訟で反論

 環境に配慮していることを打ち出すために採用している評価基準や、使用している用語が消費者に誤解を与えるとして米ミズーリ州とニューヨーク州で2件の集団訴訟を提起されている「H&M」は、両方の訴訟で反論を行った。「ソーシング ジャーナル」紙の本件に関する問い合わせに対して、「H&M」からの回答は得られなかった。

 1件目は、「H&M」が素材の環境負荷測定ツールのヒグ・マテリアルズ・サステナビリティ・インデックス(以下、ヒグ・インデックス)を基に算出した数値をもって“環境に配慮している”と宣伝するも、その数値に誤りがあり、算出方法が「虚偽かつミスリーディング」であるとして、7月にニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に集団訴訟を提起されている。これに対して「H&M」は、算出した数値の正否については争わなかったものの、原告らが「H&M」の不正行為を特定できていないと反論している。

 2件目は、「H&M」が12年にわたって展開してきた“コンシャス・チョイス(Conscious Choice)”コレクションの商品が持続可能で環境に優しいものだと消費者が誤解するような手法で販売したとして、11月にミズーリ州連邦裁判所に集団訴訟を提起されている。「H&M」はこれに対して、裁判所に10の証拠を提出し、申し立てを却下するよう求めた。証拠の中にはH&M社の2021年版サステナビリティ報告書のコピーも含まれており、同社のビジネス慣行、サプライチェーン、戦略、手順などが74ページにわたって書かれている。これらの証拠を提出することで、「H&M」は集団訴訟を提起した原告らが存在しないと主張する情報を簡単に入手できることを証明しようとしている。

 1件目の訴訟で問題となった数値算出に使用されたヒグ・インデックスは、それ自体の信頼性に疑問を持たれている。ノルウェー消費者庁は6月、ヒグ・インデックスから算出したデータを用いて環境に配慮していると謳っていた「H&M」と「ノローナ(NORRONA)」に対して「誤解を招き、違法である」と通知し、8月には「ノローナ」に対してヒグ・インデックスに言及した全てのマーケティングの変更および商品ページの消去を求めている。H&Mグループは、ヒグ・インデックスの利用価値を信じているとしながらも、消費者向けプログラム「トランスペアレンシー プログラム」のノルウェーでの展開を中止した。

 ヒグ・インデックスを提供する業界団体のサステナブルアパレル連合(SUSTAINABLE APPAREL COALITION)は、声明でノルウェー消費者庁の通達を「非常に深刻に」受け止めていると述べ、測定方法を早急に見直す方針を発表し、「トランスペアレンシー プログラム」と、ヒグ・インデックスの一部を一時的に利用停止とした。今後消費者庁や規制当局と協力して「信用できるデータをもとに製品レベルの主張を証明する方法について理解を深めていく」という。

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