渋谷109の若者マーケティング研究機関の「シブヤ109ラボ(SHIBUYA109LAB.)」はこのほど、「トレンド予測2023」を発表した。カフェ・グルメ部門、モノ・コト部門、ファッション・コスメ部門、アーティスト部門の4部門に関して、2023年に流行しそうな人、モノ、コトを選出している。年明け前で少々気は早いが、来年は一体何が流行るのか。長田麻衣所長に聞いた。
「シブヤ109ラボ」とは?
「シブヤ109ラボ」は、「渋谷109」を運営するSHIBUYA109エンタテイメントが運営する、若者マーケティングに特化した調査機関。「アラウンド20(15〜24歳)」を中心に実態を調査し、独自の視点で分析している。今回のトレンド調査では372人の女性へのアンケート調査に加え、10人の高校生・大学生とともにキーワードを抽出した。
ファッションは「萌えT」「バラクラバ」、コスメは「白湯メイク」
ファッション・コスメ部門でノミネートとして出ているのは、「海外ガール」「白湯メイク」「部分ウイッグ」「水色界隈・天使界隈」など。長田所長は「ファッションとコスメ部門ではこれまで韓国一辺倒だった流れがちょっと変わってきています。その一つとして注目なのがLA系のヘルシーでありながら肌見せも行うスタイルを指す『海外ガール』。こういった場合は大ヒットドラマ経由が多いのですが、この『海外ガール』もこれまでの韓国発のドラマではなく、欧米系のドラマです」という。具体的なファッションとしては、Y2Kファッションの定番アイテムのへそ出し系のアイテムは続きつつも、ローライズ/ローウエストのボトムスを組み合わせる。文字通り2000年前後を席巻したLA発のリアルY2Kスタイルがクローズアップされそうだ。
一方「水色界隈・天使界隈」は、水色や白色のビッグシルエットのパーカーにルーズソックスと厚底ブーツを組み合わせるようなスタイル。こちらは2010年前後にアキバやサブカル界隈で盛り上がった「ヲタ系ファッション」に近い。
メイクでは、中国発のナチュラルに盛る「白湯(さゆ/ぱいたん)メイク」や、青いアイシャドウやパール系のハイライトを使用した「クラゲメイク」、無機質でミニマル、アンニュイな雰囲気を演出できる「グレーコスメ」がノミネートされている。
長田所長は「個人的に気になっているトレンドは、『ブランドショッパー』です。お出かけ時でもスマホ1台あれば十分になり、バッグがどんどん小さくなっている一方で、当然大学や専門学校では教科書などが必要になる。そこでサブバックとしてショッパーを使うことがトレンドに。それこそ2000年前後もブランドのショッパーを持つトレンドがありましたが、現在は『シャネル』や『ディオール』といったごく一部のラグジュアリーブランドのショッパーに限られています。こうしたブランドのショッパーは、服のコーデと独立して決められる、あるいは存在感がある、ということなのだと思います」と語る。
エネルギーをマンガ「NANA」や「昭和アイドル」でチャージ!?
モノ・コト部門では「昭和アイドル」やマンガの「NANA」(矢沢あい)「デスノート」(大場つぐみ/小畑健)などがノミネート。カフェ・グルメ部門では「夜カフェ」「ルーフトップバー」「クラブっぽ居酒屋」(*編集部注:クラブのような雰囲気が味わえる居酒屋のこと)がノミネート。「クラブやバーに憧れを持ちつつも、ハードルを下げて、雰囲気を楽しめるというメリットが『ルーフトップバー』『クラブっぽ居酒屋』にはあります」と長田所長。ちなみにここで言う「ルーフトップバー」は新大久保の雑居ビルなどにあるもの。高級ホテルと比べると気軽に楽しめ、かつ開放感とロマンチックな雰囲気もある。
まとめ
長田所長は「全体をまとめると、『背伸びしすぎず楽しみたい』『自由な個性を表現するマインドをインストールしたい』という雰囲気を感じます。モノ・コト部門で『昭和アイドル』や『NANA』(矢沢あい)に代表される『平成マンガ』が上がってきているのは、そうした傾向の現れだと思います」。
アニメや漫画のイラストTシャツなど、サブカル要素が重要なポイントになる。最後に長田所長に来年大流行間違いなしのアイテムを予想してもらった。「超イチオシは、ちょっとおしゃれなアニメやマンガのイラストの『萌えT』と、今年冬から急速にアイテムが増えた『バラクラバ(目出し帽)』です」という。来年の流行語大賞の結果を乞うご期待!