ロングブーツの履きこなしのバリエーションが、一段と広がりを見せています。決め手は、アウターやボトムスとの合わせ方。重く見えがちな冬ルックを軽やかに仕上げ、脚を引き締めて見せる効果も。ボリュームたっぷりのアウターも、グッドバランスに導いてくれます。
写真のルックは、ヌーディーなベージュ系のロングブーツで一見素肌っぽく見せてサプライズを演出しつつ、しなやかなレッグラインを印象付けました。抜け感を漂わせるコーディネートとして、参考にしたい着こなしです。今回は、ファッションショーの会場でキャッチした、おしゃれエキスパートらによるブーツのスタイリング術をピックアップしました。
基本のブーツインは、色のコントラストを意識
パンツの裾をブーツに収める“ブーツイン”は基本技。ブーツを装いの主役に格上げし、レッグラインをきれいに見せる効果があります。アレンジはさまざまですが、パンツとブーツのカラーコントラストを際立たせるのは、どんなタイプにも共通するポイントです。
1枚目は、ジーンズをサイハイブーツに収めました。脚のスレンダーさが印象的なのは、ブーツの履き口にたっぷりの余裕があるから。パンツとの隙間が、脚をすっきり見せる仕掛けです。さらに、オーバーサイズのスエットパーカを羽織ってレッグラインを際立たせる、目の錯覚を利用した賢いテクニックです。
バイカーファッションも、トレンドにじわじわ浮上しています。2枚目の写真は、白パンツの裾を黒ブーツにインした、凜々しいたたずまい。ふくらはぎ丈のブーツは、バイカーファッションのお約束です。
さらに全体を白黒でクールにまとめ、上半身にはキーアイテムのライダースジャケットを合わせて、コンパクトなシルエットにまとめています。パンツの裾にあえてしわやたるみをこしらえるのは、無造作感を漂わせる小技です。
ブーツの履き口をあえて隠して存在感をアップ
服の裾をブーツにかぶせるのもベーシックなスタイリングです。ブーツの存在感が弱まる一方、キャッチーな見え具合になるのが、このアレンジのいいところ。ブーツに視線を引き込むと、全体が縦長に映るメリットもあります。
ボディーラインになじむニット仕立てのワンピースは、人気が高まりつつあるアイテムです。自分の体形を肯定する“ボディー・ポジティブ”が背景にあります。1枚目の写真は、鮮やかなイエローの膝丈ワンピースに、黒のサイハイブーツでコーディネート。体にフィットしたワンピースと、ややダボついたブーツが、適度な“ずれ感”を醸し出しています。
“Y2K”のトレンドを追い風に、厚底シューズが復活しています。ヒールが太いロンドンブーツはレトロ感満載。脚が長く映るのに加え、足元をドラマチックに目立たせてくれます。
真っ白のサイハイブーツを装いの主役に据えた2枚目の写真は、オールホワイトのコーディネート。コートをワンピース風に着こなしつつ、裾でブーツを一部隠しました。コートの隙間からチラリとのぞくブーツが、シャープな脚線を引き立てる仕掛け。あえてコートを重ねるからこそ効果的な演出です。
素肌をチラ見せ キュートでヘルシーな抜け感
ももまで覆うサイハイブーツは、ミニ丈との“長×短”の相性が絶好です。ボトムスの裾とブーツの履き口の隙間から少しだけ素肌をのぞかせる“チラ見せ”は、健康的なセクシーさを薫らせます。着こなしのコツは、アウターの裾を遊ばせること。広がった裾からほんのり見せるのがポイントです。
ミニ丈のボトムスは素肌の露出が気になりがちですが、サイハイならカバーする面積が広いので、安心感がありつつ、モード感もアップできます。1枚目は、ドレスライクに着こなしたオーバーサイズのライダースジャケットに、「シャネル(CHANEL)」のサイハイブーツを合わせて軽やかな印象に。控えめな肌見せで、ヘルシーさも添えました。
レザーの質感を引き出したり、切り替えを施したりといった、ブーツの表現力が一段と高まってきました。ニュアンスを加えることで表情が深くなり、おしゃれのムードメーカーとしてもアピール度が増します。
2枚目の白いサイハイブーツは、主役級のインパクト。膝から足首にかけて、ひだのようなしわ加工が施されていて、レザーならではの風合いが印象的です。複雑な起伏が、かえって脚をスレンダーに見せる効果を発揮しています。ボトムスはほとんど見せず、ジャケットをワンピースのように着こなすのが鍵。アウターをキュートにまとう、お手本のようなルックです。
これまでに比べて、ぐんと履き方の幅が広がったロングブーツ。脚が温かいのはもちろん、コーディネートの主役を担ってくれたり、冬ルックを軽やかに見せてくれたりするなど、取り入れるメリットがいくつもあります。冬のお出かけに抜群の頼もしさを発揮してくれるので、“ブーツイン”“裾オーバー”“チラ見せ”を使い分けて、まだまだ続くウインターシーズンの出番を増やしていきましょう。