フェラガモ一族が保有するホテル経営会社「ルンガルノ・コレクション(LUNGARNO COLLECTION)」は、1564年に作られた歴史的建造物を改修し、ホテル併設の商業施設「ポートレート・ミラノ」をオープンした。ホテルは、ローマとフィレンツェで手掛けるラグジュアリーホテル「ポートレート・シリーズ」の最新版。2002年までは神学校、それ以前には図書館や刑務所、病院としても使用された建物は、ミラノの高級ショッピング街の中心に位置。コルソ・ベネチア通りとサンタンドレア通りを結び、広さは3万140平方メートルにも及ぶ。社長のレオナルド・フェラガモ(Leonardo Ferragamo)は、「数年かけて取り組んできた壮大なプロジェクト。500年もの歴史に新たな1ページを刻むことを誇りに思う。ミラノ市民はもちろん、ミラノを愛するすべての人が楽しめる開かれた場所だ」と語る。
16世紀の回廊やバロック時代の門など、数世紀にわたる歴史を誇る建物の美しさを生かした改修は、世界的建築家のミケーレ・デ・ルッキ(Michele De Lucchi)が手掛けた。その目玉は、20室のスイートルームを含む73の客室を用意した3階建てのホテル。1階は、各部屋が回廊に面している。内装は、ミレニアル世代に人気のミッドセンチュリーなデザインの影響を受け、明るい色のウォールナット材、籐のパネル、カラマツのフローリング、またミラノのアパートメントでよく見られるレザーのハンドルや、緑色と赤色の組み合わせなど、イタリアのスタイルを取り入れている。
中庭を見下ろす1階部分にはホテルの一部として小売店舗のほか、カジュアルと高級レストランの双方を含むダイニングスペースを構える。さらにミラノのセレクトショップ「アントニア(ANTYONIA)」は、この西棟全体を占める形で2番目となる店舗をオープン。その広さは750平方メートルだ。有名、新進デザイナーによるメンズやウィメンズのほか、スニーカーの陳列スペースも用意。東棟は、イタリアのレストラン兼バー「ビーフバー(BEEF BAR)」のファインダイニングとなり、1950年代をイメージした店内ではミラノの食文化に合わせて牛肉を中心としたメニューを提供する。「ビーフバー」はすでにパリやトゥルム、ミコノス、香港で20店舗を展開しているが、ミラノには初出店。また、レオナルド・フェラガモの娘であるマリア・ソール(Maria Sole)のジュエリーブランド「ソール・スタジオ(SO-LE STUDIO)」は2022年12月、アンチエイジングのクリニック「ロンジェビティ・スイート(THE LONGEVITY SUITE)」は23年春、それぞれ中庭と地下に店舗を構える予定だ。
レオナルド・フェラガモは、「フェラガモ」を創業したサルヴァトーレ・フェラガモ(Slavatore Ferragamo)の次男にあたる。