「WWDJAPAN」には美容ジャーナリストの齋藤薫さんによる連載「ビューティ業界へオピニオン」がある。長年ビューティ業界に携わり化粧品メーカーからも絶大な信頼を得る美容ジャーナリストの齋藤さんがビューティ業界をさらに盛り立てるべく、さまざまな視点からの思いや提案が込められた内容は必見だ。(この記事はWWDジャパン2022年12月26日号からの抜粋です)
シャープがコスメをデビューさせたのは記憶に新しいが、ニトリやサイバーエージェント(「N オーガニック((N ORGANIC))」)をはじめ、もはやどんな業種が参入しても不思議ではないコスメ業界。日本はOEMの層が厚くて優秀。また1990年代以降、服にかけるお金は半分に減っているのに、コスメにかけるお金は微増を続ける現状の中、この傾向はますます進むのだろう。
だからこそ逆にハッとさせられたのが、プレステージを席巻するプチプラコスメの旗手「ケイト(KATE)」が、脚が細く長く見えるタイツをデビューさせたこと。アパレルの化粧品参入は、言ってみれば1909年に「シャネル(CHANEL)」が化粧品を作ったことに始まる一つの定石だけれど、“逆流”はなかなかないことに改めて気付いたのだ。「ポーラ(POLA)」などの通販コスメが服も同時に展開することはあっても、コスメブランドが服を作るのはあり得なかったこと。でも新生「エテュセ(ETTUSAIS)」は毎シーズン新しいファッションとのコラボ提案をしていて、恐ろしくしゃれた新パッケージとともに作る世界観が素晴らしく、思わず「『エテュセ』の服が欲しい」などと自然に思えてしまう。なるほどこれは、新しい精神的ニーズと言えるはず。
例えば、人生レベルで体の変化を余儀なくされる女性の揺らぎに寄り添っていくブランド「WRAY = レイ」は、コスメブランドかと思いきや、アウターファッションまで展開。女性の活躍支援やQOL向上までうたっていて、だから肌に髪にフェムテック、ソックスなどで温活、そして肌も体も幸せになるセーターやパンツまでを細部にこだわったデザインで取りそろえ、人を一日中癒やす洗練された世界観を作り上げているのだ。それこそ、この「レイ」と一緒に生きていこうと思うような人も現れそうなほど。
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