ファッション

「サカイ」とカフェを仕掛けたシェフ集団ゲットー ガストロ 「ヒップホップのような」食のクリエイション

 「サカイ(SACAI)」は、ニューヨーク・ブロンクスを拠点に活動するシェフ集団ゲットー ガストロ(Ghetto Gastro)とコラボレーションした期間限定カフェ「サカイ ガストロ」を東京・原宿のトウキョウ バーンサイド(Tokyo Burnside)で12月30日まで開催中だ。同店は、「ナイキ」とブルーボトルコーヒー(BLUE BOTTLE COFFEE)、ロッキーズ・マッチャ(Rocky’s Matcha)がサポートし、「ナイキ」のスウッシュロゴをあしらったソール型のワッフルをゲットー ガストロがアレンジした独自のレシピで提供する。メニューは4種類で、抹茶のワッフルとフライドチキンのセット“チキン クープ”(税込1980円、以下同)、神戸と広尾に店舗を構えるハーロウ(HARLOW)のアイスクリームを添えたチョコレートワッフル“ブラック パワー ワッフル”(1870円)とストロベリーワッフル “ストロベリー ヘイズ”(1870円)、コーンワッフルにクラブサラダとキャビアを添えた“トリプルC’s”(5280円)をラインアップする。

 メニューを担当したゲットー ガストロは、リーダーのジョン・グレイ(Jon Gray)、ピエール・セラオ(Pierre Serrao)、レスター・ウォーカー(Lester Walker)の3人で、2012年に活動をスタート。“地域をつなぐ食文化とコミュニティー力”をコンセプトに掲げ、料理とカルチャーをベースに、ファッションや音楽、アートなどを融合させたイベントやフードのプロデュースを行っている。これまでには、オーディオブランド「ビーツ・バイ・ドクタードレ(BEATS BY DR. DRE)」や「アンブッシュ(AMBUSH)」「アウェイク ニューヨーク(AWAKE NY)」と協業したほか、16-17年秋冬のパリ・ ファッション・ウイークでは「リック・オウエンス(RICK OWENS)」のディナーイベントでメニューを担当。「サカイ ガストロ」のために来日した彼らに、コラボした経緯やメニュー作りで意識したことなどを聞いた。

WWD:「サカイ」とコラボレーションした経緯は?

ジョン・グレイ(以下、グレイ):21年にロサンゼルスで行われた「ファミリー スタイル フード フェスティバル(Family Style Food Festival)」で、僕らのワッフルブランド「ウェイビー(WAVY)」と「ナイキ」が初めてコラボし、同ブランドのアイコンモデル“ワッフルレーサー”のソールに見立てたワッフルを作ったんだ。以来「ナイキ」を通して、「サカイ」とつながり、今回のプロジェクトを実現することができたのさ。

WWD:ファッションブランドである「サカイ」とタッグを組むことで意識したことは?

グレイ:僕らが言う“コミュニティー”とは、どこかの地域というよりも、ビジョンやクリエイションの一部であることを意味している。高級な素材を世界中から集めて料理に使い、普段そういうものを食べる機会がない人たちも気軽に味わえるようにしているんだ。「サカイ」も僕らの料理と同じように、いろいろな素材やパターンを服に取り入れているよね。今回のメニューでは、ワッフルに抹茶やフライドチキン、キャビアなど意外性のあるものを組み合わせて、彼らのクリエイションと共鳴するように作ったんだ。

WWD:メニューの中で、特にフライドチキンと抹茶のワッフルのセットがアメリカと日本の文化の融合を感じる。

ピエール・セラオ:日本とアメリカの食文化の共通点を表現したかったんだ。フライドチキンとワッフルを一緒に食べるのは、日本人にとってあまりなじみがないかもしれない。でも、抹茶でワッフルを作ることで、より親近感を持って食べてほしかった。それに、僕らのルーツであるアフリカを象徴する赤と黒、緑、黄色もイメージしているんだ。今回は日本でカフェを開くから、緑と赤を連想させる抹茶といちごを使ったメニューを取り入れたかった。

WWD:今後レストランを開く予定はありますか?

グレイ:食は一つのところにとどまる必要はないから、レストランを開くつもりは今のところないんだ。ここでカフェをオープンしたのは、さまざまな国籍や人種の人たちが訪れ、異なる文化が交差する空間で食を提供したかったから。僕らのクリエイションは、あらゆる要素から成り立っている、ヒップホップみたいな感じかな。実は、このトウキョウ バーンサイドはクリエイティブ・エージェンシーのエン ワン トウキョウ(en one tokyo)と共同企画した場所でもあるんだ。

WWD:これまでにさまざまなファッションブランドともコラボし、学んだことは?

レスター・ウォーカー:僕らはシェフであり、クラフツマンシップをすごく大切にしている。過去に協業してきたファッションブランドからはものづくりの精神をとても感じたよ。異素材を組みせるという「サカイ」のブランドコンセプトを理解するように、ブランドの歴史やどんな素材を使っているのかをちゃんと調べて、自分たちの食のフィールドでもどう表現できるのかを学んでいるんだ。

■sacai GASTRO
会期:12月30日まで
場所:トウキョウ バーンサイド
住所:東京都渋谷区神宮前5-12-14 2F Tokyo Burnside

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