アニメやコミックを中心としたポップカルチャーの祭典「東京コミックコンベンション(以下、東京コミコン)」が11月25〜28日、幕張メッセで開催された。3年ぶりのリアル開催となった今回は、3日間で6万7668人を動員。テーマは、“新しいつながりの場”を意味する“CONECT”だ。多様な文化のクロスオーバーを謳い、アニメやコミックだけでなく、「ア ベイシング エイプ®(A BATHING APE ®、以下ベイプ)」やアトモス(ATMOS)など、ファッションブランドやアパレルショップが参加したことでも話題となった。
中でも会場でひときわ存在感を放っていた「ベイプ」は、白いネオン管とカモフラージュ柄で統一した高さ5mほどのブースの上空に、オリジナルキャラクター“マイロ”の巨大なバルーンを設置。「ディズニー」と「DC」のブースに挟まれたベストポジションで、ゲームショーを彷ふつとさせるラグジュアリーな空間を演出した。
目玉は、オリジナルスニーカー“ベイプスタ(BAPE STA)”の先行発売だ。それも「スパイダーマン(SPIDER MAN)」やその敵の「ヴェノム(VENOM)」、そして「ドクター・ストレンジ(DOCTOR STRANGE)」というマーベルのキャラクターとコラボして、フィギュアのようにブリスター(透明のプラスチックを成型したもの)でパッキングしている。そのスニーカーをまるでフィギュアをコレクションするように壁に陳列し、「DC」とのコラボTシャツをポスターやアートのようにアクリル板に広げて見せた。さらに「メディコムトイ(MEDICOM TOY)」や「不二家」「タカラトミー」などとコラボしたトイ、“マイロ”が猫に扮した“招き猿”、完売必至の“シャークフィギュア”といったコミコンファンもうなるラインアップをそろえた。
客は事前にSNSなどで何が発売されるかの情報をくまなくチェックしており、開場と同時に目当てのブースに駆け込んでいく。従来のコミコンファン層が多い中で、「ベイプ」も終始行列を絶やさず、会場を沸かしていた。“ベイプスタ”は先行発売の3色に加えて、イベントのために用意したリストック分も入れると全部で9色になる。1足3万円弱するスニーカーを全色買って帰る客も少なくなく、次々と“ソールドアウト”の札がついていく光景は圧巻だった。
「アニメやコミックは、以前はオタク文化と言われてネガティブなイメージもあったが、ストリートブランドやハイブランドとのコラボが続々と出てきて、ファッションとの壁が次第になくなったようだ」(「ベイプ」スタッフ)と言う通り、近年は従来のコミコンファンのみならず、客層が多種多様に広がっている。アメリカでは、スニーカーやヒップホップと並ぶストリートファッションの一カテゴリーとして定着しており、特に日本のキャラクターは人気が高い。ただし、「ベイプ」のように親和性のあるコンテンツを用意できなければ、バズは起こせない。ファッションとアニメがクロスオーバーして、お互いを“CONECT(つなげる)”することが必要だ。
「ベイプ」のスタッフは、「ゆくゆくは、本場の『ニューヨークコミコン』や『サンディエゴコミコン』に出展したい。そのときは日本のブランドとして、日本のアニメやコミックと一緒に、新たな『ベイプ』を世界に発信したい」と語った。