ファッション

「マメ クロゴウチ」の凝った服はどのように作られている? 産地の技術を次世代に残すために

有料会員限定記事

 黒河内真衣子が手掛ける「マメ クロゴウチ(MAME KUROGOUCHI)」が、2023年1月19日に東京・青山エリアに旗艦店を出店すると発表した。青山店では、日本各地の機屋やニッター、加工メーカーなどと深く取り組み、詩的なクリエイションを追求する同ブランドの商品全てがそろう。コロナ禍で一時は難しかったが、黒河内や同ブランドの企画・生産担当者が頻繁に産地企業を訪れていることは、業界内ではよく知られた話。疲弊する産地の技術を次代に残していこうという意思も込め、同ブランドの公式サイトでは「THE STORY」というオリジナルコンテンツも発信している。ここでは、2022-23年秋冬の「THE STORY」掲載写真と共に、「マメ」の手の込んだモノ作りを紹介する。(この記事はWWDジャパン2022年12月26日号からの抜粋に加筆をしています)

What's "THE STORY "?

 2019-20年秋冬からブランドサイト上に掲載しているオリジナルコンテンツで、21-22年秋冬からはクリエイティブエージェンシーのkontaktが編集を担当。撮り下ろし写真とテキストでモノ作りの現場やシーズンのインスピレーション源を紹介しており、黒河内が見たものや感じたことを追体験できる作りになっている。記事制作のために、kontaktの担当者とフォトグラファーは毎シーズン5カ所前後の工場を取材している。英文も併記し、海外のバイヤーやプレスにもブランドのモノ作りや考え方を発信している。

“ランドスケープニット”

 “Land”というテーマを掲げ、黒河内の故郷である長野の自然や文化にフォーカスした2022-23年秋冬の「マメ クロゴウチ」。シーズンを象徴するアイテムの1つが、ジャカードニットで長野の風景を描いたセーターだ。白馬五竜の絵織作家の作品を元にして、四季の移り変わりを感じさせる4柄を作成した。黒河内が描いた図柄以外を取り入れるのは、ブランドとして初の試みだったという。組んだのは名の知られた作家ではないが「そういう(市井の作家の)作品にも美しさがある」と黒河内。ジャカード編み機のソフトに絵織作品を落とし込み、絵柄を組んでいく。糸はグリーンやイエローなど、複数の糸を拠って使用。それにより、編み機にかけられる糸の数に制限がある中でも複雑な色合いを最大限に表現し、さまざまな色が混じり合う長野の夏の高原風景を描き出した。高原に咲くユリの花のモチーフを手編みで作成し、編み上がったニットの裾に取り付けて立体的に仕上げた点もポイントだ。

“アルパカループカット”

1 / 4

この続きを読むには…
残り1991⽂字, 画像27枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。

MAME KUROGOUCHI x ファッションの記事

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。