パリの老舗百貨店サマリテーヌ(LA SAMARITAINE)は12月22日、フランス労働総同盟(Confederation Generale du Travail以下、CGT)に属する約200人の労働組合員が売り場を占拠し、賃上げを求める抗議行動を行ったことから、安全確保のため臨時休業とした。なお、翌23日には通常通り営業を再開している。
フランスのソーシャルメディアには、CGTの赤いベストを着用した組合員らが警備員を押しのけて店内に入り、旗を振りながら賃上げを要求する様子が映された動画などが投稿されている。サマリテーヌは「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」などを擁するLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の完全子会社で、16年間に及ぶ大規模なリノベーションを経て2021年6月に営業を再開。ラグジュアリーブランドや高級品を取り扱っているが、CGTの代表者によれば多くの従業員は最低賃金と歩合制で働いており、「自分には決して手の届かない商品を販売している」状態だという。なお、同百貨店では11月に約50人の従業員が賃上げを要求してストライキを決行。23年1月には、経営側との定期的な賃金交渉が行われる予定だ。
フランス国立統計経済研究所(National Institute of Statistics and Economic Studies)によれば、フランス国内のインフレ率は10月に前年同月比6.2%を記録。これは1985年以来、37年ぶりの高水準となっている。特に食料品での物価上昇が著しく、同国の主要労組の一つであるフランス民主労働総同盟(Confederation Francaise Democratique des Travailleurs)は全国規模でのストライキを呼びかけている。