LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)はこのほど、高級品を生み出すアトリエの職人みずからが実演や対話型プレゼンテーションを行う5回目のイベント「レ ジュルネ パルティキュリエール(Journées Particulières)」を4年半ぶりに開催した。ニューオークのデザインオフィスを公開した「ティファニー(TIFFANY)」や、パリのビスポークにゲストを招いた「ベルルッティ(BERLUTI)」などの初参加ブランドを含め、傘下にある計57のメゾンが15カ国93の拠点を一般公開し、合計20万人が訪れた。なかでも「ディオール(DIOR)」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のチケットは、たった3秒で完売。イベント自体のチケットも6分以内に売り切れ、当日は朝5時から一目見ようと外で並ぶ人々もいた。
アントワン・アルノー(Antoine Arnault)=ベルルッティ(BERLUTI)CEO兼ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)会長およびLVMHのヘッド・オブ・コミュニケーション&イメージは3日に及んだイベントを「感動的な瞬間。いまだパンデミックの最中ではあるが、感動的な体験はスクリーン越しでは伝わらない」とオフラインにこだわった経緯を説明。10年前に思い立ち、現在は当初の倍の規模になったイベントについて、今回は状況を見ながら半年以上準備したと振り返った。
今回の目玉の1つは、「ショーメ(CHAUMET)」がヴァンドーム広場に構えるアトリエの“秘密の空間”だ。2020年の改装以来、一般公開するのは初めて。ゲストはピアノの生演奏で出迎えられ、かつては画家のパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)や建築家のギュスターブ・エッフェル(Gustave Eiffel)が集ったディナーパーティーを再現したベルエポック様式の空間を堪能した。当日は1780年の創業以来、メゾンが専門技術を注ぎ生み出し続けるティアラの中から、19世紀の貴重な品も展示された。
「ケンゾー(KENZO)」は、ヴィヴィエンヌ通りの本社でクチュールのウェディングドレスをはじめとする60以上の衣装を展示し、創業した高田賢三と現在のアーティスティック・ディレクターであるNIGOとのつながりを示した。また「セフォラ(SEPHORA)」はメイクアップやスキンケア、ヘアケア、フレグランスを中心に特別講義を行ったり、「リサイクルしやすい」「より良い地球のために」「ヴィーガンにやさしい」「あなたにやさしい」を主軸とする「Good For」セレクションを紹介したりした。
「ティファニー(TIFFANY)」は、エンジニアやCADデザイナーまで働くアトリエを解放。約650人の来場者は、創業者の息子でデザイナーとしても名を馳せたルイス・コンフォート・ティファニー(Louis Comfort Tiffany)の蝋人形を製作したり、ダイヤモンドのセッティングに挑戦したりの贅沢な時間を堪能した。