コロナ禍もあって家で過ごすことが多くなり、ファッションも楽なものを選ぶ消費者が増えている。外出をしないからこそ、自分へのケアや見えないところにこだわるようになったという声も聞かれる。例えば、毎日必ず身に付ける下着や、おうち時間を楽しくするルームウェアにお金をかけているようだ。また最近はお笑い芸人フォーリンラブのバービーとこコラボや、いろんな体型の女性をモデルに起用した取り組みでも注目。下着ブランド「ピーチ・ジョン(PEACH JOHN)」の榎本有希マネージャーは自身の経験を踏まえて、多くの女性に勇気とパワーを下着に込めて接客してきたと話す。
榎本有希/ピーチ・ジョン エリアマネージャー
PROFILE:(えのもと・ゆき)1983年生まれ、埼玉県出身。高校生の頃にカリスマ店員ブームを経験し、高校卒業後、販売員に。シューズブランド、ファッション雑貨ブランドを経て、2010年にピーチ・ジョンに入社。渋谷店、大宮店を経て、新宿店では店長を経験し、21年4月よりエリアマネージャーに昇進。現在は新宿、有楽町、立川、名古屋エリアを担当。時折、店頭に立ちつつ、各店のマネジメントしている。
―販売員の仕事を始めたきっかけは?
榎本有希さん(以下、榎本):ちょうど高校生の頃が“カリスマ店員”ブームや“カリスマ美容師”ブームで、それに憧れて周囲のみんなが美容師か販売員になりたいと思っていた時代です。私も高校生時代はギャルだったので、地元の大宮アルシェでよくお買い物していました。でも、その頃からスタイルには自信がなくて、ファッションブランドでは働けないなと思っていたのです。
―確かに、当時は渋谷109でスタッフ取材をすると必ず体型維持の話題がでました。それで?
榎本:まずは、よく買い物に行っていたアルシェの「ボニータ」で働き始めました。それから、キラキラのお財布で一世を風靡した「アッシュ&ダイヤモンド」でも販売をしていました。
―それは懐かしい!本当に強い影響を受けてきたのですね。榎本さんから見て、当時のカリスマ販売員はどこが凄いと思いましたか?
榎本:とにかく、“動くマネキン”みたいで、ショップスタッフが服を着て店内を歩いているだけでカッコいいし、スタッフの着ている服を買いたくなるところがすごかった。各スタッフがカリスマ性を持っていて、それにも憧れましたが“勢い”や“パワー”のようなものがあって、とにかくカッコよかったですね。店頭にそういうショップスタッフがいるだけで、その店が活気づく。今でもそういう存在になれたらいいなと思っています。
―私も取材で圧倒されっぱなしでした。憧れだった販売員として働き始めて、どうでした?
榎本:販売する商品は変化していきましたが、一貫して思ったのは、自分がおススメした靴やバッグ、下着でお客様がライフスタイルやおしゃれを楽しんでいるお客様を見るのが嬉しいということです。身に付けるもので自信がついたという方もいて、お客様が喜んでいることに販売の醍醐味を感じています。
「ピーチ・ジョン」に転職した理由
―2010年にピーチ・ジョンに転職した経緯は?
榎本:アルシェで働いていた時はお店が近くにあったので、例えば「来週は○○に行く予定があるから新しい下着を買おう」とか、付けてきた下着が仕事中にだんだん苦しくなってきて楽なのはないかな……と何かにつけてピーチ・ジョンに寄っていたことがありました。店内を見ているだけでワクワクもするので、「いつか、ここで働けたら楽しいだろうな」と思うようになって、思い切って転職しました。下着も、靴やバックと同じで、丁寧な提案が必要な商品なので、そういった点でも楽しいではないかと思ったのです。
―個人的に靴も下着も、服以上に丁寧に選ばないといけないアイテムだなと思います。そうなると接客も大変だと思うのですが。
榎本:そうなんです。靴の場合は、お客様の足の形、サイズも様々、そこに靴の形、デザイン、お客様の好みと組み合わせて提案することが大変でした。それは、今の下着の提案にもつながっていて、お客様の体型に合わせることはもちろん、日々のスタイリング、バストに関するお悩み、ライフスタイルなど、総合して提案していくことが重要です。難しい接客ではあるかもしれませんが、気に入った一点を見つけてお買い上げされることが嬉しいです。
―服は自分の好みをある程度、重視して選べますが、下着や靴はそれだけでは選びきれないですもんね。
榎本:靴もバッグも下着も、とても提案が繊細なんですよね。私はお客さまの身周りのものを提案することが好きというが、合っていたんだと思います。丸一日は身に付けるものなので、自分が身に付けてみたら、こういうところが良かった、悪かったと自分の感想を伝えた上で、歩くことが多いのか、立ち仕事なのかとお客様のライフスタイルを聞き出し、それに合わせて提案しています。それに、体やバストの悩みは一人ひとり違うので、そこに即した提案を考えることにやりがいがあります。
自分の経験を伝えることで、お客さまからの共感を引き出す
―そういったデリケートな質問をすることに心がけていることはありますか?
榎本:私自身もコンプレックスが多かったので、この下着をつけることで前向きになれたとか、生活や仕事での動きが楽になったとか、自分だからこそ分かるという経験があります。それをお客さまに伝えて共感しながら提案することを心がけています。自分の体験を話すことで、「実は私……」と心を開いてくれることもあります。元々、人と話すことが好きで人見知りしない性格なので、そんなに接客が難しいとか、どうやってお客さまと会話をすればいいとか、そういった大変さは感じたことがないですね(笑)。
―そうなると、スタッフが「お客様に声が掛けられません」といった相談にはアドバイスされていますか?
榎本:そういう時は「お客さまを見て、想像すること」と伝えています。お客さまの動きや持っているものをよく観察して「どういったものを探しているのかな?」「こういうモノに興味持っているのかな?」「あの商品、可愛いと思ってくれているかな?」と想像しながら声をかけています。それから声をかけてみると、その後の会話が広がると思います。どうしても「接客しなきゃ」「声を掛けないと……」と焦ってしまうことがある人もいるかもしれませんが、まずはお客さまをよく見てから。店長時代も声掛けが苦手なスタッフと一緒にお客さまを観察して、「今、あの商品を手に取ったけど、興味を持っていそうかしら?」と一緒に考えながら教えました。
可愛さも大事。けどそれだけじゃない。
敏腕販売員が薦める「ピーチ・ジョン」下着3選
―では普段の接客で心がけていることは?
榎本:お客さまのライフスタイルや悩みを聞き出して、それに合わせて提案するです。私もそうですが、「この下着を付けていると一日楽だな」とか「体調があまりよくないからこの下着にしておこう」「今日は仕事が忙しそうだから楽なものにしよう」とか、デザインの可愛さだけでなく、その日の仕事や不調な時でも心身に寄り添える下着を選んで欲しいと思って接客しています。
―榎本さんのおススメはありますか?
榎本:私は自分の身体にフィットしてくれる「いつでもジャストブラ」か、フォーリンラブのバービーさんとのコラボ商品の「クイーンブラ」がおススメです。「クイーンブラ」は背中を補正しつつ、胸の高さを出してくれます。あと、本当に忙しいときは「ピージィ」です。被りタイプのブラですが、これだと本当に一日楽に仕事をこなせます。
―以前、洋服をきれいに見せるためにも下着選びは重要だと聞いたことがあります。洋服の販売員にも、仕事のときや補正したいときといった用途で選ぶのを知って欲しいですね。
榎本:そうなんです!自分に寄り添ってくれる商品なので、全ておススメです。世間一般的には“キラキラ”“可愛い”“セクシー”と思われているところもありますが、そうでないのが「ピーチ・ジョン」ならではなのです。様々な女性の体型や悩みを解決しながら、でも可愛い下着を身に付けたいといった女性の想いを叶えてくれる商品がたくさんあります。機能や着け心地が楽な素材などを使い、目に見えないデザイン部分で女性をサポートしてくれます。その見えない部分を丁寧に伝えて、お客様のライフスタイルに合った提案を心がけています。
―昨年の4月からエリアマネージャーになりましたが、今後の目標は?
榎本:目標というか、いま 目指していること、自分が仕事で意識していることになりますが、コミュニケーションを一番に大切にすることです。それは、お客様はもちろん、店長たち、各店のスタッフたちとのコミュニケーションも含めて、大切にしています。特にスタッフたちと笑顔で関わっていくことが、モチベーションやいい接客につながると感じています。マネージャーとして、スタッフが楽しく働けて、いろんなことに挑戦できる環境をつくれるように店長たちをサポートしていきたいと思います。