ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN.com」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週は、2023年のビューティ企業に求められる力や心構えの話。
【賢者が選んだ注目ニュース】
19年以降、国内に3工場新設の資生堂 「サプライネットワークがビジネスをけん引すべき」
相次ぐ社長交代、2023年はどうなる?【今週のビューティ展望】
2023年の最初は今年の美容業界のトレンドについて書きたいと思い、年末年始に「BeautyTech.jp」そして「WWDJAPAN.com」の記事タイトルをパンデミックが始まった20年初頭あたりからざーっと眺めてみた。DXやイノベーション分野で企業がどう動いているのか、大きな流れをつかんでみたいと思ったからだ。
美容業界においては、社会性や透明性を筆頭にメタバースやNFT、オムニチャネル化、パーソナライゼーション、常在菌や幹細胞分野のR&D、肌解析におけるアプローチなどさまざまなトピックスがあったが、その一方で、企業の考え方としてイノベーションの土台となる「内製」「伴走」「融合」のキーワードがうかびあがってきた。 字面は地味だが、23年はこれらのキーワードが企業にとってさらに大きな意味を持つだろうという直感だ。感染症や地政学リスク、消費者のめまぐるしい行動変容など、先の読みにくい不安定な時代、この3つをいかに実行できるかが、数年後の企業やブランドが選ばれる存在であるかどうかを決定づけるのではないか。
企業内に知見をためる「内製力」
ここでいう「内製力」とはすべて自前主義ということではなく、外部企業とも連携しながらも、自社に確実に知見をためるという意味だ。これは製造からマーケティング、販売まであらゆるプロセスでいえることだと思う。 美容業界のモノづくりでは、大手は自社工場を拡大したりDX化で内製を強化したりの傾向が明確だが、開発コンセプトを携えてOEM企業と連携する場合でも、処方について自分たちもいかにプロセスに関与し、知見をためるかがひとつのキーになるだろう。マーケティングやクリエイティブにおいても内製力の課題は重く、外部企業に丸任せといった話も散見されるが、CRMやマーケティング関連のSaaS企業でもカスタマーサクセスが社員の約半分というところが出てきているように、そのノウハウをクライアント企業が吸収するまでをサービスとする企業が増えた。
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