REPORT
パンクスピリットを宿したリラックス・ミッドナイト
シーズンテーマは「パーフェクト デイ」。ルー・リードの同名の曲と共にショーは幕を開けた。ファーストルックは肩に毛足のようなプリントをのせた花柄のスエットとワイドパンツのコーディネート。その後もプリントスエットやロングカーディガン、ばっさりと羽織ったボアにパジャマパンツなどのワイドボトムを合わせたルックが続く。高橋盾デザイナーが自身にとっての「パーフェクト デイ」を「リラックスした時間」と語ったように、「アンダーカバー」流のエフォートレス&リラックススタイルを核にしたコレクションだ。ゆったりとしたシルエットやニュアンスカラーを用いたスタイリングの中に、女性の顔に落書きを加えたプリントや、鹿の角やトゲのようなティアラを盛り込み、パンキッシュなムードや毒気を加える。
コレクション中盤には、ミッドナイトを思わせるネイビーやグレイッシュなトーンを中心に、脱構築的なアプローチのメンズライクなスタイルが多数登場。テーラードジャケットのインナーにしたノーカラーのロングジャケットやレザーのライダースには、ファンシーなネコ柄のファブリックで切り替えを施し、抜け感を出した。ひきずるほど長いロングガウンの左腕にはナイロンフライトジャケットの袖、右腕にはムートン風の袖を取り付けたり、トレンチコートのショルダー部分にダウンを取り付けたりするなど、ブランドを代表するシーズンの一つである「エクスチェンジ期」を思わせるリミックス的なディテールも散見された。部分使いしたファーや首元に巻いたスカーフ、アウターのウエストをランダムに絞り、シルエットで遊ぶスポンテニアスな着こなしなど、トレンド要素もちりばめられている。
コレクションのラストを飾ったのはメタリックのコルセットとチュールや、フェザーをぜいたくに組み合わせたビッグシルエットのドレス。美空ひばりが歌い上げる「虹の彼方へ」とともに、まばゆい夢のようで、どこかノスタルジックな夜を演出した。