REPORT
見慣れた図形で造る「超構築的ドレス」
インビテーションには三角形や六角形、コンパスで描いた円を重ねた模様、幾何学的な図形が無数に並ぶ。これらが、今回「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン」のコンセプトである「超構築的ドレス」を構成した要素だ。アナログな仕事から新しさを生み出すブランドらしく、今回も試行錯誤を重ねて作られたであろう新たなフォームと、手仕事のち密さが光るコレクションだった。ファーストルックは身体にぴったりと沿うカットソーと、複数のネオプレンをねじったり、たたんで縫い合わせたりすることで立体的なシルエットを作ったスカート。頭にはスイムキャップを思わせるタイトな帽子、足元にはレギンスとコンパクトなフラットシューズを合わせ、スカートとの対称性を際立たせたオールブラックのスタイリングだ。その後もミニマルなカットソーやレギンスに、ブラックやレッド、バイオレットやネオンピンクのネオプレンで作った構築的なピースを合わせたルックが登場。三角形をつなぎ合わせた花のようなモチーフを付けたパンツや、三角柱を組み合わせて作ったドーナツ状の部品を連続的に重ねたドレス、円に渦巻き状の切り込みを入れて立体にしたヘッドピースなど、一つ一つのモチーフをさまざまな角度や方法でドッキングしたり、カットしたりすることで、見慣れた図形に新たな表情が生まれていく。
ヘアメークでは、モデルのありのままの姿にほとんど手を加えないブランドが多い中で、眉を細くつり上げ、彫りを深く作った1930年代風のメークを提案。コレクションのテーマである”超構築的”なイメージをより強固なものにすることはもちろん、ナチュラル志向のヘアメークトレンドの中で新鮮な印象を与えた。